内容説明
18世紀末、ポーランドは列強に分割され地図から姿を消した。ポーランド西部はプロイセン、そしてドイツ帝国に編入され、その東部国境地域に住んでいたポーランド人の一部は、生活のためにドイツ西部のルール工業地帯に移住していった。これがルール・ポーランド人である。しかし、新天地での生活はあまりにも過酷だった。「ポーランド野郎」として偏見・蔑視にさらされ、それから逃れるべくやむなく改姓という選択を行う人も現れる一方、ポーランド人としての一体性を求めて民族運動も活発化した。だが、それとともに政府による支配と抑圧も強まった。異郷の地で生きざるを得なかったポーランド人の運動を描き、日本社会における在日朝鮮人への視線をも考えつつ、マイノリティから国民国家の問題を析出する。旧版に加筆・修正を施した「改訂新版」の刊行!
目次
第1章 異郷と故郷(亡国の民;故郷から異郷へ;異郷のポーランド人)
第2章 ルール・ポーランド人とポーランド・ナショナリズム(ルール・ポーランド人の協会活動;ルール・ポーランド人のジャーナリズムの形成;ポーランド・ナショナリズムの広がり;ルール・ポーランド人と宗教)
第3章 ドイツ政治とルール・ポーランド人(ポーランド労働運動の自立;帝国結社法とルール・ポーランド人;帝国結社法の影響;帝国結社法とポーランド協会)
第4章 「ポーランドの脅威」と民族政策の展開(ポーランド人監視体制の確立;ポーランド人の社会・文化生活への規制;民族差別と改姓問題;マズールジンをめぐるプロイセン政府とルール・ポーランド人の運動)
第5章 ルール・ポーランド人の運動と第一次世界大戦(第一次世界大戦前夜のルール・ポーランド人;第一次世界大戦とルール・ポーランド人)
著者等紹介
伊藤定良[イトウサダヨシ]
東京大学文学部第二類西洋史学専修課程卒業。東京大学大学院人文科学研究科西洋史学専門課程博士課程単位修得済退学。青山学院大学文学部教授を経て、青山学院大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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