内容説明
いま、パレスチナ/イスラエルをめぐる問題は、直視することも放棄したくなるほどの惨状にある。パレスチナのガザ地区はイスラエルの建設したフェンスで封鎖され、物流も制限された巨大監獄と化し、パレスチナ人のデモには日常的にイスラエル軍スナイパーによる容赦ない狙撃が加えられ、東エルサレムでは理不尽な家屋破壊が遂行されている。そして、イスラエル社会内部にも国際社会にも、それを止めようとする動きは少ない。このような暴力を対岸の出来事として見るのではなく、パレスチナ/イスラエルを、日本も含む近現代世界史の文脈のなかで論じ、またそれをとおして世界と日本を問いなおすことが、いま求められている。
目次
第1部 国家主権とディアスポラ思想(ディアスポラと本来性―近代的時空間の編制と国民/非国民;バイナショナリズムの思想史的意義―国家主権の行方;オルタナティヴな公共性に向けて―ディアスポラの力を結集する)
第2部 パレスチナ/イスラエルの表象分析(パレスチナ/イスラエルにおける記憶の抗争―サボテンをめぐる表象;パレスチナ/イスラエルの「壁」は何を分断しているのか―民族と国家の形を示す五つのドキュメンタリー映像;パレスチナ/イスラエルにおける暴力とテロリズム)
第3部 歴史認識(イスラエルの占領政策におけるガザ地区の役割とサラ・ロイの仕事;ポスト・シオニズムとポスト・オリエンタリズムの歴史的課題;イラン・パペのシオニズム批判と歴史認識論争)
著者等紹介
早尾貴紀[ハヤオタカノリ]
東北大学文学部卒業。東北大学大学院経済学研究科博士課程修了、博士(経済学)。イスラエルのヘブライ大学およびハイファ大学客員研究員などを経て、東京経済大学准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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