内容説明
一九九〇年代以降の日本近代史研究に大きな足跡を残した歴史家・牧原憲夫。その研究の中から牧原史学のエッセンスが詰まった代表的な論文を精選して収録。上巻は、研究の原点となる一九七〇年代前後の入手困難な初期論考をはじめ、明治後期の土地問題や農民問題論、民権運動の分析から、「客分」をキーワードに新しい民衆史像を提示した一九九〇年代までの論考など、未発表作品も含めて構成される。戦後の社会科学や歴史学に学びつつも、近代的価値観や制度そのものに内在する抑圧や排除・疎外を鋭く問い質していった歩みを示す。
目次
1 原点―「敗北の論理」を見据えて(原点となった読書体験は?;否定としての溯行―創刊にあたって ほか)
2 土地所有にみる「近代」―源蓄期国家と運動者(宮崎民蔵の思想と行動―ある土地改革者の軌跡;明治社会主義の農民問題論 ほか)
3 民権と国権、連帯と侵略(民権と国権―大阪事件に見る;大阪事件研究の意味と課題 ほか)
4 民衆運動の論理―三極構造と「客分」(民権運動と「民衆」―ひとつの問題整理;政事と徳義―困民党の歴史的位相をめぐって ほか)
著者等紹介
牧原憲夫[マキハラノリオ]
1943年8月生まれ。東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。東京都立大学、法政大学、早稲田大学等の非常勤講師を経て、1997年4月~2007年3月東京経済大学経済学部教員。2016年7月永眠
藤野裕子[フジノユウコ]
1976年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(文学)。現在、東京女子大学現代教養学部准教授
戸邉秀明[トベヒデアキ]
1974年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。現在、東京経済大学全学共通教育センター准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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