出版社内容情報
広がっていく経済的不平等や、そこに生まれる暴力から人間をいかにして救うのか。この困難な課題に正面から向き合い、思索し戦った…日本の初期社会主義は、明治後期に誕生した、日本で最初の資本主義への意識的な対抗思想・運動であった。本書はこうした日本資本主義批判の系譜の根源に立ち帰り、大杉栄をはじめとするさまざまな初期社会主義者たちの思想と行動の意味を、かれらが生きたグローバルなコンテクストとともにあきらかにしていく。既存の社会主義に対してこれまで加えられてきた批判を意識しつつ、初期社会主義を読み直すことにより、その思想と運動の豊かさを再提示する。
序章 資本主義の地形学へ向けて
第?部 鳥瞰図
第1章 明治ソーシャリズム・大正アナーキズム・昭和マルクシズム
第2章 資本主義批判としてのアジア主義―日本帝国主義の宣教師たち―
第3章 国民と非国民のあいだ―非戦論から大逆事件へ―
第?部 踏破記録
第4章 号令と演説とアナーキズム―大杉栄における「吃音」の問題―
第5章 無政府主義の遺伝子―大杉栄における「科学」と「自由」―
第6章 労働運動と反植民地闘争のあいだ―「アナ・ボル」論争の脱構築―
第?部 時間地図
第7章 社会主義と文体―堺利彦と幸徳秋水の「言文一致」をめぐって―
第8章 歌が滅びるとき―石川啄木における「時間の政治」―
終章 終わりなき旅路のはじまり
梅森 直之[ウメモリ ナオユキ]
1962年生まれ。早稲田大学政治経済学術院教授
1 ~ 1件/全1件