出版社内容情報
現代詩の現在に誕生した若々しい恋歌、福島直哉第一詩集刊行。屈折と断絶、そして邂逅と別離の限りなき反復。ふたつの若い身体に訪れる息詰まる試練を世界は新たな希望と見なすのだろうか。現代詩の現在に誕生した若々しい恋歌、福島直哉第一詩集刊行。
いつかをどこかで待っている
さよならの意味が始まって
わたしが子供に帰るとき
蹲る砂浜
病室の空
冬の木霊
抽斗の手紙
牛の街
春の匂いが染みついて
森の駅
燐光の流れる川
薄明の朝
わたしのお墓
どこまでも流離うためのせかい
水平線の椅子
透き通る道
砂糖水の夜
海岸線の発光
無人の販売所
満月の夜
福島直哉[フクシマナオヤ]
一九八九年、神奈川県横浜市生まれ。
内容説明
屈折と断絶、そして邂逅と別離の限りなき反復。ふたつの若い身体に訪れる息詰まる試練を世界は新たな希望と見なすのだろうか。現代詩の現在に誕生した若々しい恋歌、第一詩集。
目次
いつかをどこかで待っている
さよならの意味が始まって
わたしが子供に帰るとき
蹲る砂浜
病室の空
冬の木霊
抽斗の手紙
牛の街
春の匂いが染みついて
森の駅〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いやしの本棚
15
灰色の静かな詩集だった。もやもやしたものを抱えたままの心を調律してくれるような。何にも読めないときにでも何かを読みたい性質なのだけれど、ここに書かれてある言葉たちはすっと心に入ってきたから、わたしはこの詩集が好きなんだと思う。「(わたしの部屋もあなたの病室からも海が見えるのならこれからは海にも住めるよ。)」「忘れてゆくってことは/血液になるってことだったね」「この惨めな循環を惨めではないと叫ぶために震えを求める惨めなたましいが/わたしと呼ばれる身体には入っている」2019/12/28