内容説明
「逃げたやつらが隠れているのはここか?」言語に挑み、文章を解体することから決して逃げることのなかった作家レーモン・ルーセルによる言葉の奔流。仮想のアフリカを舞台に繰り広げられる奇妙きわまりない祝祭の只中で、あなたはきっと熱に浮かされて夢を見る。奇才・坂口恭平によるドローイングで読む、見たこともない熱帯アフリカ。希代の言葉の魔術師と、現代の奇才の燦爛たる競演。機械的で難解なルーセルを少しだけ血を通わせて訳した新訳版で、あなたも奇想世界へ。
著者等紹介
ルーセル,レーモン[ルーセル,レーモン] [Roussel,Raymond]
1877年生まれ1933年没。小説家・詩人
國分俊宏[コクブトシヒロ]
1967年生まれ。青山学院大学教授・翻訳家。早稲田大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学、パリ第3大学博士課程修了(文学博士)。和歌山県出身(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タカラ~ム
19
本を読む贅沢というのは、こういう本を読むことを言うのだと感じた1冊。今から100年以上前に書かれたレーモン・ルーセルの散文小説に触発されて坂口恭平が描いたドローイングが読み手のイマジネーションを果てしなく刺激する。訳文も読みやすく、フランス語の原文を併録されているので、ルーセルの実験的な言葉遊びの妙を訳文とドローイングで楽しみながらページを行ったり来たりして読むのが楽しい。伽鹿舎の作品は九州限定だが、本書については初版相当分完売につき全国展開が決定した。ぜひ読んで欲しい作品。2017/08/31
ココロココ
17
『アフリカの印象』にインスパイアされて坂口恭平さんが描いたドローイング100枚をもとに、その場面の抜粋の訳をつけて出版されたもの。これを企画された意図に、とても愛情が感じられた。最近読んだ本にこの本が紹介されていて、積んでいたので読んでみた。 ドローイングがとても個性的で面白かった。アフリカに行ったことがないフランス人が言葉遊びで書いている。白と黒の対比がたくさん出てくる。物語の抜粋なので、いつか全文を読んでみたい。もちろん岡谷公二さん訳で。2018/09/07
吟遊
17
ものとしても内容も素晴らしい本。イメージにあふれた読書体験。装幀も凝って美しければ、文庫本よりほんの一回り大きなサイズもいい。ほどほどに主張する存在感は、坂口恭平さんのどこか抜けた絵にも通じる。レイアウトも楽しく、実は対訳であり、飾り文字まで麗しく1/3下段に仏文が付されている。言葉遊びであり、イメージ遊びであるようなルーセルをやわらかく湿度低めながらくるくる回るサーカスの輪のような印象に翻訳する國分俊宏さんも名訳と思う。2018/02/19
ぽち
10
この本は書店でシュルレアリスムコーナーを眺めてたらたまたま見つけた、やっぱり書店は楽しい。あの坂口恭平さんが描いた100枚!のドローイングを元にその場面を新訳、フランス語の原文も付されたレイアウト、凝った作りのカバーも素敵すぎる。熊本県の小規模出版社伽鹿舎、パスカル・キニャールの限定本も出版していたのはたしかここではなかったか・・・書籍に対しての愛が尋常ではない、熱い・・・!2018/01/26
akiu
2
元は、「アフリカに行ったこともないフランス人が言葉遊びで書いたアフリカ(帯より)」で、さらに、それを読んだ坂口恭平が100枚の絵を描いたという本。抄訳なので全文は載ってない。内容は奇想天外で面白いが、おそらく原文を読まないと本当の面白さはわからないのではないか…(本書には原文も付いているが)。ドローイングについては、書いてあることを素直に絵にしたらこうなった、という感じで、元の内容がぶっ飛んでるので面白くないはずがないのであった。魔法使いが少女の目を治すシーンが一番の衝撃だった。なぜ眼球が浮いておるのだ。2019/07/24