内容説明
京都に住み、京都の女を描き続ける花房観音が迫る、京都に住み、京都を描き続けた山村美紗の生涯。歴史と情念、ミステリアスな京都の横顔は、美紗の小説とドラマ化された作品からきていると言っても過言ではない。
目次
序章
第1章 京都の作家
第2章 出生、結婚
第3章 江戸川乱歩賞
第4章 デビュー、ベストセラー作家へ
第5章 京都組
第6章 戦死、ふたりの男
第7章 京都に女王と呼ばれた作家がいた
著者等紹介
花房観音[ハナブサカンノン]
1971(昭和46)年、兵庫県豊岡市生れ。京都女子大学文学部中退後、映画会社や旅行会社などの勤務を経て、2010年に『花祀り』で団鬼六賞大賞を受賞しデビュー。現在も京都でバスガイドを務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ベイマックス
102
伝記?読みやすくはあったけど。読む人が多く売れる本を書く。読む読まないの選択も自由。純文学が崇高とも言えないし、いいんじゃないかな色々なジャンルがあって、色々な書き手が存在して。ただ、西村京太郎作品は、鉄道物になる前の(売れなかったといわれている)時代の方が面白かった。◎作家の私生活の情報って必要?性別すら分からなくていいと思うけど。作品がよければ。芸術家は作品が全てなのでは?芸能人の私生活も(不倫含め)知らなくていいかな。ダメなのは、政治家だけでは。◎夫の巍の生き方の方が興味がある。すごい人だよ。2021/05/24
おつぼねー
92
江戸川乱歩賞…どうしても取れなかった。その劣等感や不安を、想像を超える執筆量で払拭してきた、焦りと華やかさを合わせ持つ人生だった山村美紗。その人生に常に黒子となって陰で支えてきた夫や西村京太郎は同じ時代に生きた戦友のような存在だったのかもしれない。ドラマのみで作品は未読だが、出版業界ピーク時の旅立ち。作家として幸せだったのでは?興味深かった…くらい。2021/03/23
どんぐり
88
「山村美紗サスペンス」のTVドラマで知られる京都のミステリー作家の評伝。現在書店で見ることのなくなった山村美紗の著作は250冊以上。一冊も著書は読んだことはないが、人物像の「女王」に興味があって、本書を読んだ。長女が女優の山村紅葉。京都東山の元旅館を改装した本館に山村がいて、渡り廊下でつながった別館に西村京太郎が住み、夫・巍はマンションから山村の家に行き、陰の存在になって支えていた。京太郎は、美紗が離婚して自分と結婚してくれることを望んでいたという。取材は夫の巍にとどまり、西村京太郎がないのは、残念。→2021/08/19
fwhd8325
88
山村美紗さんの作品は一冊も読んでいません。ただ、テレビで放送されたドラマは、意識せずに見ていたんだと思います。特に思い入れの作家ではありませんが、西村京太郎さんとの関係など、耳にしていたことがどのように描かれているか、半分野次馬的に手にしました。著書の中にも書かれていますが、出版界のタブーとされていた関係は、今でも生きてるように感じました。2020/11/03
Kei
74
係りのあった有名作家二人、松本清張、西村京太郎が、才能あれど大変な醜男なのが、不思議な共通点です。若さでもなく、言われるほどの美貌でもないが、魅力的な女性だったのでしょうね。膨大な冊数と売り上げ、映像化も霞。書籍として残らずとも、あの時代にあれだけの足跡と栄光を。ある意味、シアワセかも?でも、早くに男性を残して死ぬと、損ですね。夫も愛人も再婚してしまっています。花房さん、もっとセクシャルな部分も掘り下げてもらいたかったですが、ご遺族、京太郎氏存命中は無理だったようで、残念です。2020/09/21