内容説明
田中一村(1908‐1977)を同時代に生きた父・大矢黄鶴と重ね、追い続けた渾身の研究書。すべては昭和59年12月、著者がNHK出版美術編集長を務めていた時に放映された「日曜美術館 田中一村」から始まった。
目次
第1章 生誕の栃木と東京での暮らし(才能を育てた環境;東京美術学校の同級生たち ほか)
第2章 千葉時代(千葉への移住;南画から“新しい日本画へ” ほか)
第3章 奄美時代の一村―奄美第一期(国直の海岸で;何故奄美だったのか ほか)
第4章 再びの奄美―奄美第二期(再びの奄美;一村の散歩コース ほか)
著者等紹介
大矢鞆音[オオヤトモネ]
日本画家大矢黄鶴の次男として1938年東京に生まれる。兄の紀、弟の十四彦ともに日本画家。1962年早稲田大学第一文学部美術学専修卒業、NHK出版に入出。NHKブックス編集部、図書編集部編集長を経て取締役美術部長。『現代日本画家素描集』『田中一村作品集』『故宮博物院』など、多くの美術図書編集に携わる。奈良県立万葉文化館、鹿児島県奄美パーク田中一村記念美術館、津和野町立安野光雅美術館設立に協力。田中一村記念美術館顧問、万葉文化館総合プロデューサーを経て、現在、美術評論家連盟会員、安野光雅美術館館長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Hiroki Nishizumi
3
一村とはどのような画家であったを寄り添うように描いた本。大作だったが素直に読めて楽しかった。実は奄美に行くのは嫌々だったとか、プライドが高く捻くれた性格であったとか、親族がチヤホヤし続けたにも関わらず結果を残せず苦悩した、など興味深い内容だった。奄美に行かなければアカショウビンやアダンは画材として登場しなかった訳で芸術と個人の運命の存在について考えさせられた。2019/01/11
yoyogi kazuo
0
700頁を超える大著だが、もともと200回以上にわたる新聞連載をまとめたものであるため、評伝としては些か冗長。しかし田中一村という画家は世に知られるべき存在だと思うので、こうした書物の存在は貴重だろう。2023/07/29