内容説明
ジブリ作品に登場する架空の建造物に注目。建築家・藤森照信氏の詳細解説、宮崎駿監督の文章と共に、その設計の源に触れる一冊。背景画、美術ボード、美術設定など約380点の図版を収録!2014~2018年に開催された人気展覧会の公式図録を完全復刻。
目次
部分を見れば、全体が見える。(スタジオジブリ)
空想的で現実的な建物(藤森照信)
ジブリの建造物(鈴木敏夫)
建築史家・建築家から見たジブリの建造物(藤森照信)
ジブリの建造物の世界へ
スタジオジブリと藤森照信、そして江戸東京たてもの園(早川典子)
映画と建築をつなぐ記憶と無意識の世界(対談 藤森照信×宮崎駿)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
292
思わずため息が漏れる。こうしてあらためてジブリの建造物を見ると、実によくできているばかりか、それらの家や建造物が語りかけてくるかのようだ。つまり、それぞれの物語を内包しているのである。建物の外も中も、そして周辺の環境にいたるまで、時には細部も、また時には町全体の構造までが声をあげる。そして、私たちにノスタルジックな感興を起こさせるのである。物語の構想をこんな風に一つ一つ形に して行くのは、なんとも稀有な想像力だ。私たちは宮崎駿と邂逅できた幸せをそこに再確認することになる。そして、あの作品を見た時が甦る。2025/03/29
nana
79
みているだけでわくわく。表紙にもなっている千と千尋の神隠しの湯屋が一番好きです。2021/12/17
レモン
48
『風の谷のナウシカ』から『思い出のマーニー』までのジブリの立体建造物展の図録。建造物を中心としたイメージボードや背景画、建築史家・藤森照信氏による建築様式の解説がたっぷり収録され、大満足の1冊。これのディズニー版もあると良いのに。ジブリの建造物は千と千尋の油屋やハウルの城など一見アニメだから成り立っていると思えるものも、実際に作ることはできるらしい。宮﨑監督はほとんどの人が注意を払わない建造物と地面との接地面に注目するなど、天才はやはり着眼点が違うと実感させられる。対談も面白かった。2023/08/16
馨
45
ジブリ作品の建物の図録。ジブリに出てくる建物の光景はどれも時代背景や、場所までイメージがつくし、行ったことがないところでも何か懐かしかったり、憧れたりするので好きです。やっぱり魔女の宅急便の世界観、好きです。2024/12/14
おゆき
34
映画内の建物の温かさや、懐かしさが好き。建築史家の藤森照信さんの解説や、巻末の宮崎駿監督との対談が読み応えあります。住む人から家のイメージを膨らませる。居心地の良さも、その過程だからこそ出てくるんですね。建て増し建築は家の歴史を感じてワクワクします。そして劣化で板が割れたり、柱が錆びたり、土壁が欠けてたり、色褪せていたり、と経年が見えるのが好き。住居と火の関係の考察も面白かった。対談でのふたりの原風景や死生観の話は、作品の根源を感じました。イラスト画のみならず、こだわりがじっくり感じられる満足感ある一冊。2025/04/13