感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yumiha
44
レビー小体型認知症の特徴の一つが幻視。「見ること」とは「脳の中の視覚野で処理されること」だそうな。つまり目は、そのための道具に過ぎないちゅうことか?幻視は脳の誤作動、と聞いたことがあるのだが、視覚野が誤作動を引き起こすちゅうことだろうか?レビー小体型認知症の患者である著者が目覚めた瞬間に見えた幻視を絵にしたのが本書。実にカラフルでユニークな絵が並んでいた。俳人の阿部完市(精神科医)は幻覚剤を用いて見えた世界を俳句にしたことがあったそうだが、著者は何もしなくても幻視を味わえることを楽しんでおられるようだ。2022/11/19
KEI
30
レビー小体型認知症と診断された著者がその経過を幻視のイラストを元にして書かれた本。ご自身の母親の認知症を経験し、発症前に認知症のVR体験をした事が功を奏し、突然起きた幻視を冷静に判断し早期に治療を開始出来た事が幸いだったと思う。タイトルは著者が実際に見た幻視をイラストにしたもの。母の友人は幻視を怖いものと訴える方がいたので意外だった。幻視や認知症をマイナスと捉えず毎朝見える体験を逆に楽しんでいられる事に勇気づけられた。 著者がYouTubeに載せている幻視の映像をコメント欄に載せます。2023/01/25
hrmt
30
図書館本。著者はレビー小体型認知症を患っている。同じ病である私の母は、かつて幻視に怯えて泣き喚いた。母にはとうの昔に亡くなった祖父(非常に怖い人だったらしい)や、自分の周りを這う虫が視えていたようで心地よい幻視ではなかったようだ。当人にはそれが現実なのだから否定せずその恐怖に寄り添って労わってあげてと戸惑う父に助言した。眠る前によく視た恐怖は父の添い寝で随分落ち着くようだった。本書を読んでこんな対処の仕方もあったのかと思い、認知症も考え方次第でその苦悩も軽くなるのなら、母ももっと楽だったかもと思った。2022/09/21
Roko
28
手足の震えなどの運動機能に関しては薬でかなり緩和されたのですが、幻視は毎日現れます。せっかく珍しいものを見ているのだからと考えた三橋さんは幻視を記録してみようと考えました。夢日記をつけるのと同じような感じで「幻視日記」をつけ始めたのです。最初は文字だけだったのですが、それではわかりにくいので絵も描いてみることにしました。 不思議なものの絵なのですが、三橋さんの絵は何となくユーモラスなのです。幻視についてこんな風に具体的に説明してくれるのは、とても貴重な情報なのだと思います。2024/11/25
とんかつラバー
13
認知症というと物忘れがひどくなるイメージだが、さまざまな症状がある。レビー小体型認知症の幻視をイラストと文章で紹介。恐ろしげに思えるが、通院で日常生活を送れている。幻覚が見えるのが目覚めた時の一瞬だけというのもあるが、筆者の人間性も大きい。車庫入れが下手になったから免許を返納し、奥さんに指摘されて物忘れ外来に行く。歳をとると頑固で怒りっぽくなるものだが、素直に人の言う事を聞く姿勢は見習いたい。パソコンも使いこなしてYoutubeで動画もアップしてるそうで、新しい事に取り組む精神も大切なのかもしれない。2023/05/07