内容説明
本書は、20世紀後半のベルギーを代表するアーティスト、ジャン=ミッシェル・フォロン(Jean‐Michel Folon、1934‐2005)の日本では30年ぶりとなる展覧会の図録です。初期のドローイングから水彩画、版画、ポスター、そして晩年の立体作品までを網羅し、フォロンの描く鳥やリトル・ハット・マンといったシンボルとともに紹介します。インクや墨による軽妙な線はユーモアとぬくもりが漂い、溶け合うような色彩のグラデーションは美しい。フォロンの丁寧な観察や思考が垣間見える数々の作品は、私たちの感覚をやさしく解き放ち、時空を超えた空想の旅へと連れ出してくれます。幻想的で詩情あふれる作品は美しいだけではありません。環境破壊や人権問題などに静かな抗議を行ったフォロンのメッセージも込められました。デジタル化やパンデミック、戦争など、人間が大きな課題と向き合わなければならない現代にこそ、フォロンの芸術は強く心に響きます。フォロンとの空想旅行を経て、私たちは地平線の向こうにどんな景色を見出すのでしょうか。
目次
プロローグ 旅のはじまり
第1章 あっち・こっち・どっち?
第2章 なにが聴こえる?
第3章 なにを話そう?
エピローグ つぎはどこへ行こう?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
284
ジャン=ミッシェル・フォロン(1934-2005。ブリュッセル生まれ)の回顧展。タイトルは「空想旅行案内人」。それに魅かれて。多彩な技法を駆使して、また絵画からオブジェ、彫刻まで幅広いジャンルを駆け巡る。絵は、ポップアート風だが、常に存在の哀しみを湛えているかのようだ。「発明」(1982)、「世界人権宣言」のための一連のポスターなど心惹かれるものが多数あるが、インパクトは必ずしも強くない。良くも悪くもそれが特徴のようでもある(ファンの人からは怒られそうだ。お前はちっともわかってないと。)2024/12/19
さおり
28
東京でフォロン展に行った友人が貸してくれた本。とても私好みでした。2024/09/08