内容説明
溝口、小津、黒澤。誰が最も日本の伝統に根差し、誰がそれから最も遠いか?映画史から見る「日本らしさ」。映画は日本をどう写してきたか?
目次
伝統の多元性について
木下惠介作品の美少年愛について
木下惠介作品の国民映画性について
木下惠介作品のけなげさ、いじらしさ、について
韓国で今村昌平の「神々の深き欲望」を語る
新藤兼人と“土を失った百姓”
アメリカ映画は世界をどう描くか
挨拶のような映画 中央アジアのまれびとたち
フィルムセンターの古い映画が語りかける
戦前、戦中期の大船調女性映画をふり返る〔ほか〕
著者等紹介
佐藤忠男[サトウタダオ]
1930(昭和5)年、新潟県生まれ。日本を代表する映画評論家。映画を中心に演劇、文芸、大衆文化、教育など幅広い評論活動を半世紀以上続け、著書は100冊以上に及ぶ。また、日本映画大学学長をつとめる。妻・久子とともに受賞した第7回川喜多賞をはじめ、紫綬褒章、勲四等旭日小綬章、芸術選奨文部大臣賞、フランス芸術文化勲章シュバリエ章など国内外で受賞多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あきあかね
25
今日は鎌倉の紅葉ヶ谷(もみじがやつ)を歩いた後、鏑木清方美術館と川喜多映画記念館へ。美術館は「清方と鏡花」展の最終日で、特別に学芸員の方の丁寧な解説を聴け、映画記念館も日本映画と文学の関わりを扱っていて興味深かった。 数々の洋画の名作を日本に紹介するとともに、国際映画祭を通じて日本映画の魅力を海外に発信した川喜多夫妻は、本書でも取り上げられている。 本書は、日本文化の「伝統」を伝える映画の多元性、東洋趣味から始まり、文化の壁を超え次第に日本映画が世界に受容されていく過程など、様々な切り口から日本映画が⇒2019/12/01
kiho
12
日本映画のそれぞれの監督が描いた世界を、 簡明に伝えてくれる。映画を見るだけでは思いいたらない部分までが見えてくる⭐2017/09/12
shouyi.
6
映画の歴史を語ることによって日本社会の歴史を述べる。歴史を知ることは決して過去だけを知ることではなく間違いなく現代につながるものだと思い知った。名監督たちの苦悩や映画のもつ社会への影響の大きさ。とても興味深い本だった。2021/10/17
koji
6
日本、日本人とは何かを考え続けている私に、一つの視点を与えてくれました。著者は、「日本映画の巨匠たちのうち、誰が最も日本文化の伝統を伝えているのか」との問に、「巨匠達は各々日本の伝統に根ざしており、ただ、その選んだ伝統が違うだけである」と答えます。階級社会が作り上げた伝統の多元性という言葉は、私のKEYWORDの1つになりました。本署での発見は、木下恵介、新藤兼人であり、戦前大衆映画及び日本アニメの足跡です。そして我が町の「川崎市アートセンターと日本映画大学」の記述。映画への居住まいを正させてくれました。2015/10/06
タオル
1
ずいぶんと昔に、黒澤明の世界という本を読んでから、時々佐藤忠雄さんの本は読んでいました。ですが今回は久しぶりに出会った一冊。もう85歳になっておられるのに未だに進化形。映画が存在する本当の意味を考えさせられます。2016/03/20