父のところに行ってきた

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  • サイズ 46判/ページ数 472p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784908184505
  • NDC分類 929.13
  • Cコード C0097

内容説明

―父は、いつかの風の音、いつかの戦争、いつかの飛んでいってしまった鳥、いつかの大雪、いつかの生きなくてはという意志、それらが集まってどうにか一個の塊になっている匿名の存在。父の内面に抑え込まれたまま表現することもならず、わだかまって語られなかったことども―。過酷な現代史の渦が残した傷を負い、それでも生き抜いた名もなき父の物語。

著者等紹介

申京淑[シンギョンスク]
1963年、全羅北道井邑市生まれ、ソウル芸術大学文芸創作科卒。22歳で文壇デビュー。詩的で独特な文体で人気を博し、韓国文学を牽引する作家となる。李箱文学賞、現代文学賞、万海文学賞、東仁文学賞など受賞多数。2008年に発表された『母をお願い』(安宇植訳、集英社文庫)は世界41カ国で出版され、252万部の大ヒットとなった。2011年、同書でマン・アジア文学賞受賞

姜信子[キョウノブコ]
1961年、横浜生まれ

趙倫子[チョリュンジャ]
1975年、大阪府大東市生まれ。韓国語講師。パンソリの鼓手および脚本家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

たまきら

35
読み友さんの感想を読んで。「わしは何もしなかった」というアボジから零れ落ちる記憶が、家族の言葉から拾い上げられていく様が見事だった。そして読みながら、自分と父親の関係を思わずにいられない。仕事好きで家庭には不在だった父の背中を思い返すことは難しい。けれども50を過ぎ、難しい年ごろの娘に向き合いながら、娘と自分の日々に父親の存在を目をすがめ見出そうとしている自分がいる。FENの流れる車内、霞が関ビル。…ボーナスが出ると千葉から都心まで美味しいものを食べに行った、あの帰り道。あの車内が父と私なんだなあ。2024/10/22

ケイトKATE

23
父親のことをきちんと向き合っていないことに気付かされる小説だった。作家のホンは、オモニ(母親)が入院したことで久し振りに実家に戻り、アボジ(父親)と暮らすことになった。アボジとの生活で、子供時代に両親を失い、朝鮮戦争で殺されそうになった辛い過去。20歳で結婚し、家長として子供たちのために懸命に働いたアボジの人生を知ることになった。家族の幸せがが自分にとっての幸せと信じたアボジの生き方に無償の愛を感じた。”生き抜いたんじゃ。父が言った。おまえたちがおったからこそ、生きたんじゃ、と。”最後の言葉に心打たれる。2024/05/24

Red-sky

2
ここで語られてきたのは、この父だけが体験したとこではなくて、韓国全体が通ってきた道で、みんなが体験した傷なんだと思う。伝染病で幼いときに上の男兄弟、両親を亡くして家長となり、朝鮮戦争で同族同士、近隣で闘い、独裁政権で多くの市民が傷つき、貧困と闘いながら幼い子を育てあげる重圧、素早く変遷する社会で子には学を身に着けせなくてはと奮闘する、それを体験していたアボジのこれまで語られることのない記憶が脳の奥に眠らぬ記憶としてずっと疼き続けてきていたのだろう。2026/01/24

Sachiko

1
6人きょうだいの4番目である作家の「私」が故郷にひとりいることになった(母が病気治療のためソウルに長く暮らすことになりそうだったため)父の世話をしに帰る。認知症のような症状が出る父に戸惑いながらもしばらくいっしょに暮らすうちに、これまでにあったいろいろなことを思い出す。家族から父について聞き取り、近所の人、古い友人などからも知らなかった父のことを知るようになる。父が生きてきたのは韓国の独裁政権時代でもあった。地方に残されているのは高齢者ばかりという現実も実感する。長いけれどもお勧めします。2026/01/12

takenoko

1
昨年末に図書館で借りて、読みきれないまま期限をむかえ一度返したけど、なんか気になってまた借りて読んだ。今の自分と重なるところが多くて、うまく読後感整理できない。田舎に年老いた両親を残し、都会で家族を持った、多くの壮年世代にとって、我が事のように感じる部分が多い。2025/02/16

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