内容説明
手放せない希望、父を阻めないという意識、絶望の解決策。私はこの三つの間をさまよい続けていた。
著者等紹介
アンゴ,クリスティーヌ[アンゴ,クリスティーヌ] [Angot,Christine]
作家、劇作家、脚本家。自らの体験に基づく実父との近親姦を主題にした『L’Inceste 近親姦』(1999年日本未訳)が反響を呼ぶ。以後、発表する作品は2005年にフランス・キュルチュール賞、2006年にフロール賞、2015年にデッサンブル賞そして2021年にフランス5大文学賞の一つであるメディシス賞を受賞し、アンゴは現代フランス文学を代表する一人となった。なお2013年にフランス政府から芸術文化勲章のオフィシエを受勲し、2023年2月からはゴンクール文学協会(通称アカデミー・ゴンクール)会員に選出されている
西村亜子[ニシムラアコ]
フランス文学翻訳家。慶應義塾大学文学部仏文学科専攻修士課程、及びパリ第三大学FLE修士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヘラジカ
39
「実父からの性的虐待によって破壊された女性の人生」という一元的な見方、読み方を許さない。憐憫や嫌悪感、あるいは同情心など、分かり易い感情を中心に読むことが到底不可能な難しい小説である。解説でも使われていた”実存的な不安”という言葉通り、どこからどこまでが歪められた性格なのか、父親に滅茶苦茶にされなければあり得た自分とは何かが、一種模索するような語りによって綴られている。確かに神話的な自己供儀の物語という視点も提示されており、シンプルな自伝的小説に見えてとても複雑な作品であった。2024/02/05
星落秋風五丈原
24
何度も何度もこのテーマで書いている作者。妊娠した途端母親を捨てたくせに13年ぶりに出会った娘が美しくなっていて関係を少しずつ深めていく。2024/07/29