内容説明
少年マーティンは両親の離婚に伴い、父の住むロンドンと母の住むパリを行き来しながら成長する。ある日、マーティンは父に連れられて行った撮影現場でプロデューサーの目に留まる。世界的大ベストセラーの映画化で主役になれるのか?だが、最終セッションで、もう一人の少年が主役に選ばれてしまう―。居場所が見つからなかったマーティンの希望は潰え、いやでもライバルの栄光を見続けることになる。マーティンは人生を棒に振ってしまったのか?
著者等紹介
フェンキノス,ダヴィド[フェンキノス,ダヴィド] [Foenkinos,David]
1974年、パリ生まれの作家、脚本家。ソルボンヌ大学で文学を専攻。ジャズ・ギターのインストラクターを経て、2002年に『Inversion de l’idiotie』で作家デビュー。2009年『La D´elicatesse』(邦訳『ナタリー』)がベストセラーとなり、映画化。2014年、『Charlotte』(邦訳『シャルロッテ』)でルノドー賞を受賞
澤田理恵[サワダリエ]
フランス語翻訳家。学習院大学文学部フランス文学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ルピナスさん
78
ハリーポッターについて、ハリー役にはもう1人の候補がいて、選ばれなかった事を原因とする苦難から逃れられず苦しみ続けていたとは考えた事もなかった。毎年のようにハリー、ハリー、ハリー。気持ちを切り替えられない。失敗はバネになるとか、引き摺りすぎだ前進しろとか、本人でなければ何とでも言える。最終候補者だったと打ち明け話のネタにできる位の人間ならここまで苦しまなかった。でも人間が抱く気持ちの深さは人それぞれ。これ以上先は読めないと一時期思ったが、希望が待っていた。まだ人生長い。彼にはこれからの人生楽しんで欲しい。2023/02/23
なつこうへい
5
ハリーポッター役のオーディションで、最後まで争い、選ばれなかったマーティンの苦悩する物語。その長い年月、ルーブル美術館で職を得、カリムに出会い、ソフィーに出会い、最後にダニエルに会って、話して、再起する姿はほっとする。2023/02/14
つくし
2
この小説は多くの人に読んでほしい。オーディションの結果目前にあった「ハリー・ポッター」役を得られなかった少年の話。ハリー・ポッターに関わる出版や映画のバックグラウンドも実名で描かれていてドキュメンタリー的にも読み応えがあるのだけれど、それと対比するように描かれる主人公の少年がいかに活路を見出すのか、まさに日進月歩のリアルさ、静かな痛みに惹きつけられながら一気読みしてしまいました。2024/01/21