内容説明
内観、ポジティブ思考、U理論、発達心理学、コーチ、自己啓発…すべて捨てよう!気鋭のデンマーク心理学者が提起する“反自己啓発の書”。
目次
イントロダクション 生き急ぐ人々
第1章 己の内面を見つめたりするな
第2章 人生のネガティブにフォーカスしろ
第3章 きっぱりと断れ
第4章 感情は押し殺せ
第5章 コーチをクビにしろ
第6章 小説を読め―自己啓発書や伝記を読むな
第7章 過去にこだわれ
結論 加速文化におけるストア主義
付録 ストア派思想
著者等紹介
ブリンクマン,スヴェン[ブリンクマン,スヴェン] [Brinkmann,Svend]
オールボー大学心理学教授。文化評論家。ローセンケア賞を受賞。さまざまなテレビ・ドキュメンタリーに出演し、デンマークのテレビ番組「Live Fast!」番組や国営ラジオの「Meaningful Life」シリーズのプレゼンターも務めた
田村洋一[タムラヨウイチ]
組織コンサルタント、教育家。メタノイア・リミテッド代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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baboocon
22
日本語版への著者の寄せ書きに「日本の人たちがデンマーク人のようにたくさんの自己啓発書を読んでいるのかどうか知りません。」とあるが、日本でも一定の人気があるジャンルだと思いますよ!とはいえ、著者がこうして反自己啓発書を書こうと思うほどに日本でも本書のいう「加速文化」が蔓延っているかというとやや疑問だけど。本書の主張には肯ける点が多く、人生のネガティブにフォーカスしろ、とか、小説を読め、という意見には勇気づけられた。2022/03/17
くらすけ
21
サイエンスライターの方が勧めていたので読みました!内容は内省のしすぎ(真の自分を探す),怒りは、悩みは吐き出したりして発散した方がいいなどの俗説や心さえも安定しなければならないという新自由主義的な圧力に対する批判です。学術的には議論が深められそうなのに浅く止まっている印象もあります。内容はゆっくりとしていきたいけど、自己啓発に変わる羅針盤を求めてる人には物足りないかもしれません。ですが(どうすればいいのか)の節のぼやかしたようなアドバイスは世の中、そう単純じゃないよとのメッセージなのかもしれません。2022/06/20
テツ
21
個人的には自己啓発本的な物を読んでも「何偉そうに上から目線で語ってんだこのハゲ」としか思わないのだけれど、あの手の本の内容に感化されて「もっと成功しろ」「もっと幸福になれ」といった呪いのような言葉に追い立てられてしまう方も多いだろう。そうした加速文化につきあわないための一冊。意識高い系な志は決して悪いことではないけれど、それによって自分が追い詰められてしまうようではいけないよな。幸福に至る道程もその形も人それぞれ異なるのだから、他者が提示したものを安易に信用して、それに合わせようとしてはならない。2022/04/01
kayak-gohan
15
企業は利潤の最大化を目指すため、そのドライバーとして従業員のスキルアップを要求する。スキルアップを促すための「殺し文句」が自己実現あるいは自己啓発。相対主義評価の人事制度の中で、従業員は催眠術あるいはマインドコントロールにかけられたようにコーチングやマインドフルネスの研修に通い、自己実現・自己啓発志向は加速の一途をたどる。自己の内面に目を向け(自分探し)、そこからポジティブな自分としての課題対応をしていくのが自己実現の最初といわれるが、著者はそれを「ポジティブの呪縛」として批判する。2022/11/24
くらすけ
14
1年ぶりの再読。就活をしてると意欲やチャレンジ精神をアピールしないといけないし、アニメなど商業展開が盛んなコンテンツを好きだと色々ハイペースで出てきて、チェックが追いつかない。そんな日々だったので心が平穏になりました。本書を読んで一年。小説だけでなく世界を観察する練習も兼ねて、僕は絵画を見る習慣を取り入れたりしてます。立ち止まって伝統や美術、自然に想いを馳せることは勇気がいるけど、それ相応の喜びをもたらしてくれると感じています。2023/06/23