内容説明
福岡県糸島市在住の大櫛ツチヱさんは、93歳で迎えた昨年の春に、突然、70年前に戦争で亡くなった夫に、毎日ラブレターを書き始めました…。「貴女!貴方!」で始まる手紙には、愛しい想いがあふれ、素直でみずみずしい言葉がちりばめられています。
目次
亡夫恋し流れる雲に託す想い
はじめに
赤い糸で結ばれた日
あなたと暮らした1年2ヵ月
子供が生まれて
悲しい別れ
戦地から届いた手紙
永遠の別れ
頑張って頑張って、楽しんで…
もうひとつの悲しい別れ
今の幸せをあなたに伝えたくて…
おわりに
著者等紹介
大櫛ツチヱ[オオクシツチエ]
1920年、福岡県で生まれる。1941年、大櫛仁九郎と結婚。福岡市内で暮らし始める。1942年、長男勝彦誕生。同年12月、仁九郎出征。1943年、長女洋子誕生。1946年、公報が届き夫の戦病死を知る。1950年より小学校の教員として働き始める。退職後、ボランティア活動や仏教婦人会で活躍。2013年まで、糸島郡遺族連合会の女性部長を務める。2014年3月より夫への恋文を書き始める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんこ
47
93歳にしてこの文章。本当に驚きです。1941年で20代の男性が、お見合いした妻へ「恋人から始めようね」と言ったとは、珍しいのではないでしょうか。また当時のツチエさんの美しい事! 実母から聞いていた当時の若夫婦というよりは、いまどきの仲の良いご夫婦のようです。映画や美術館に行くというのも、当時では珍しいと思います。10年前からご長男との同居で、昔の懐かしい思い出が蘇ったのでしょうか、亡き夫へのラブレターを書き始められたようで、思いの強さにあてられました。一人の人を想い続けられる素晴らしさを感じました。2016/08/05
馨
33
戦病死された旦那さんを思って70年目に手紙を書き始めた93歳の奥様の本。手紙の内容から旦那さんとの短くも幸せな結婚生活や、旦那さんのあたたかなお人柄がとても伝わって来ました。戦死後、お子様2人を育てるのは大変だったろうと思いますがお子様が大きくなられだんだん旦那さんの面影が見えてくると嬉しいだろうなと思います。2016/09/22
アーちゃん
20
図書館本。外地で病死されたご主人に宛てた、93歳から書き始めたという恋文と、これまでの著者の人生を綴った文章。驚いたのは恋文がストレートで情熱的である事です。また現在でも通用するようなご主人の優しさとご夫婦の仲の良さ。辛いけれど微笑ましい。2017/05/29
にがうり
17
積読山脈から何気なく引き抜いて読了。93歳の女性が27歳で戦病死した夫に当てた恋文集。結婚式で初めて会った、赤い糸で結ばれた紳士で優しい夫と過ごした新婚生活はわずか1年2か月。2人の子を遺し、パプアニューギニアのジャングルで戦病死していたことを終戦後に知る。手紙には、募る恋心と出会えたことへの感謝、彼の血を受け継ぐ子供、孫、ひ孫と暮らす幸せを綴っているが、裏にある無念さや悲しみ、寂しさを思うとやりきれない。「貴方の許へ行く時は昔に還って新妻になって行きますから待ってて下さい」の一文が切ない。今日から8月。2019/08/01
積読書店員ふぃぶりお
6
27歳にして戦地で亡くなった夫・仁九郎さんへの手紙を書き綴る93歳の大櫛ツチヱさん。彼女の認めた言葉は70年のときを超えて語りかける、夫に贈る恋文たち。惜しむらくは、値段を考慮するともう少し分量の欲しいところ。2015/07/28