内容説明
「何もしない王朝」最大の武器、それは王家同士の婚姻であった。背けば貴賎婚と差別される非人間的な鉄の掟に、命を賭けて抗った大公・大公女たちの狂乱の態を名人、桂米朝、屈指の演目「地獄八景亡者戯」さながらに、ハプスブルク研究の泰斗が語り尽くす、乾坤一擲の「超説」全7幕!
目次
口上 妄言妄語一説
外務大臣 カルノキー伯爵
序幕 妥協の帝国
第2幕 新聞辞令
ザクセン=コーブルク=ゴータ家 フェルディナント殿下
亡霊 ヘレンバハ男爵
第3幕 死ぬほど退屈なのだ
長老 アルプレヒト大公
第4幕 貴賎婚
舞姫 ミリ・シュトゥーベル
ウィーン秘密警察 ワーグナー刑事
第五幕 皇太子の小函
ミリの姉 ローリ・シュトゥーベル
宮内大臣 モンテヌーヴォ公爵
第六幕 皇籍離脱
第七幕 ホーン岬に散る
ヨハンの母 マリア・アントニア大公妃
著者等紹介
菊池良生[キクチヨシオ]
1948年生まれ。明治大学理工学部教授。専攻はドイツ・オーストリア文化史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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遊未
5
タイトルから内容が推測できないので、著者名を信じて借りました。歴史というより小説?皇帝フランツ・ヨーゼフ時代の亡命オーストラリア大公ヨハン・サルバトールの小説より奇なる生涯の物語。ただし、書き出しからこの物語が向かう先は不明でした。 とにかく、面白い止まらない物語ですが、時系列が何度も前後します。わかりやすい物語とは言い難いので、ハプスブルク家についてざっと知らなければ読みにくいかもしれません。2018/08/01
Myrmidon
1
ハプスブルクの異端児、ヨハン・サルバトールを中心に、19世紀後半、斜陽の、というより日没直前のハプスブルクをゴシップてんこ盛りで描く。史実を追っているハズだが、内容は小説に近いかも。筆者は落語か講談のノリで書いている。めちゃくちゃ面白かったが、人を選ぶ本。文体は大時代的な滑稽さに溢れた独特なものなうえ、同じような名前のハプスブルク王族、貴族が次々とゴシップネタを繰り広げ、時系列は乱れまくる。世界史の基本的な流れくらい頭に入ってないと理解が難しいかも。2016/05/27