出版社内容情報
水産漁業史・民具など草創期民俗学を発掘・後援 渋沢敬三は、渋沢栄一の孫として生まれ、第一銀行副総裁、日銀総裁、戦後は大蔵大臣を務めるなど、実業界・官界で活躍した。その一方で、東大卒業後の若き日にはアチック・ミュージアム(のちに日本常民文化研究所)なる私設博物館を開設し、昭和戦前期には、民具の収集・分類、古文書の収集・整理、漁業史や漁具研究を中心に民俗研究を行い、宮本常一など民俗学者・歴史学者を輩出した。戦後、このアチック・ミュージアムは、国立民族学博物館設立へとつながる。
渋沢敬三はその研究活動の中で、自身は『日本釣魚技術史小考』『日本魚名集覧』『塩俗問答集』などの著作を著わし、また国内・海外を旅したエッセイや、民俗に関するエッセイなどをものしている。民俗学でつかわれる「常民」なる言葉も、渋沢の造語といわれる。
本書は、渋沢敬三の著作より抄録、後代による解説・批評加え、より分かりやすく読者に提供する。
第一部 非文字資料の発見―民具と絵巻物
アチックの成長/アチックマンスリーから/『民具問答集』第一輯 まえがき/いわゆる足半について(予報)/オシラサマ/絵引は作れぬものか/日本広告史小考など
第二部 水産史と魚名誌
『日本釣漁技術史小考』第一章 序説/テグス小史/『豆州内浦漁民史料』序―本書成立の由来/海村の郷土史料/帆影七里/魚名分布に見られる一傾向/若干魚名註記一束/式内魚名など
第三部 旅と交流
「南島見聞録 四 台湾と高雄」/「南島見聞録 五 先島列島」菅江真澄
祖父の後ろ姿など
[巻頭論文・エッセイ等]
川島秀一(東北大学災害科学国際研究所 シニア研究員)
安室知(神奈川大学教授・民俗学)
飯田卓(国立民族学博物館教授・漁民研究)
山田厳子(弘前大学教授・民俗学)
山本志乃(法政大学文学部兼任講師・民俗学)
略年譜
川島秀一[カワシマシュウイチ]
編集
内容説明
草創期民俗学を開拓した渋沢敬三の著作に、後代による解説・批評を加え収録。
目次
渋沢敬三の学問―生き方と重なる研究方法
渋沢敬三の視座―「同定」へのこだわり
渋沢敬三と日本民族学協会
渋沢敬三影響下の地方民間博物館―「声のレコード」をめぐって
師弟で歩いた出雲―片句浦に残る書簡から
渋沢敬三「エッセイ+論考+講演」(非文字資料の発見―民具と絵巻物;水産史と魚名誌;旅と交流)
著者等紹介
川島秀一[カワシマシュウイチ]
1952年生まれ。宮城県気仙沼市出身。法政大学社会学部卒業。博士(文学)。東北大学附属図書館、気仙沼市史編纂室、リアス・アーク美術館、神奈川大学特任教授、東北大学災害科学国際研究所教授等を経て、同研究所シニア研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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