内容説明
山や海の自然の中で暮らす人々にとって、自然は恵みをもたらす一方で、死に結びつく常でない事象を強いるものであった。「怪異伝承譚」は、このような自然と人々のかかわりの中から生じた民俗譚―不思議な体験・伝聞談である。「三陸大津波」などの伝承譚も含め、本書は約80編を収録した。
目次
やま 怪異伝承譚(山の霊の話;小河内の山姥 ほか)
かわぬま 怪異伝承譚(鮭の大助;よぞう沼 ほか)
うみ 怪異伝承譚(ミサキ;磯女 ほか)
つなみ 怪異伝承譚(年寄り婆さと津波;赤面地蔵 ほか)
著者等紹介
大島廣志[オオシマヒロシ]
1948年東京生まれ。國學院大學で野村純一の指導を受け、口承文芸学を学び、全国各地の昔話を記録する。小泉八雲、近代における外国昔話の受容と展開、現代伝説の分析等についての論文がある。國學院大學兼任講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ワッピー
9
やま・かわぬま・うみ・つなみの四部構成で怪異伝承を紹介。広く語り継がれた著名な話のバリエーションも多く入っていますが、それぞれ変わったアレンジがあって予想以上に楽しめました。比較的新しい話(隠岐丸の三つボタン)や珍しい話(アワビを食わぬ村)もあるなかで、特に最終話の遠野で採集された「妻のたましい」には驚きました。遠野から海辺の田の浜に婿に行った福二という男が月下の浜を歩くうちに津波で死に別れた妻の姿を見た話ですが、細やかな人間心理を含んだ民話らしからぬ完成度があり、短編小説を読んだような気分になりました。2024/03/19
まんま
2
やま、かわ、うみでの怪異伝承譚。神聖なもの未知なものに対する畏れは、必要なものだったと思う。むかし、から始まる怪異は興味深く、日本人の底にある魂がある。津波の前に、神仏の顔が赤くなるという伝承はなにか繋がりがあるのかな2018/02/16
日村さん
0
昔はいろいろなことに畏れがあったんですねー2020/06/05
cuzco
0
自分的評価:2.5 全国の民話からの怪異譚。方言?話し言葉?で書かれているので、標準語しか知らない自分には少し読みづらかったが、雰囲気はとてもあった。知らない話も結構あった。2018/01/29