出版社内容情報
中村 隆之[ナカムラ タカユキ]
著・文・その他
内容説明
さあ、書物の海を旅しよう。現実世界が潰えたあとに浮かびあがる、“希望”の地図の作成術。
目次
第1部 場所(反復される川の記憶;カリブ海の移動と交流 ほか)
第2部 境界(絶対的暴力の牢獄;分からなさの向こう側を想像する ほか)
第3部 生(ジャン・ベルナベ(一九四二‐二〇一七)
パスカル・カザノヴァ(一九五九‐二〇一八) ほか)
第4部 交響(アナキズムと詩的知恵;口頭伝承と神話的思考 ほか)
著者等紹介
中村隆之[ナカムラタカユキ]
1975年、東京都に生まれる。フランス語圏の文学、批評、翻訳。東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程修了。博士(学術)。現在は、早稲田大学法学学術院教員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かもめ通信
24
フランス語圏の文学の研究者で翻訳家でもある著者が、2017年~2021年にかけて『図書新聞』に連載した「感傷図書館」をベースに加筆、再構成したもので、ブックガイドであると同時にちょっと変わったトラベルガイドでもある。例によって例のごとくまたまた読みたい本を積み上げてしまったが、後悔はしていない。新たな旅への期待で胸が高鳴る。2024/04/15
Tom
2
紹介されるのがほとんど知らない作家ばかりだった。訳本だと水声社で読めるものが多い。水声社。あまり買ったことないな。棚見れば1冊くらいはあるかも。一番読みたいと思った『形象の力』がAmazonでトンデモナイ価格になってた。目取真俊『虹の島』も読みたい。「最低な方法だけが有効なのだ」って言葉は、今の時代に刺さりすぎる。2022/09/27
PETE
1
図書新聞での不定期連載のまとめ本。ネグリチュードとクレオールの対立、カリブ海・アフリカ・日本の辺境などの文学研究の現場報告、作品や人物の紹介が簡明にして要を得ており、良質のブックガイド。2022/11/07
shusaw
0
本書では、第二世界は、冷戦時代におけるアメリカを筆頭とする第一世界に対して、ソ連を主軸とした陣営の呼称ではない。それは、フランス語圏カリブ海文学の代表的作家パトリック・シャモワゾーが小説『カリブ海偽典』で用いた言葉である。それは、私たちの日常から隠されたいくつもの場所に向けた想像力であり、日常では覆われているという意味でユートピア(どこにもない場所)であると言われる。隠されながらも、いま・ここにあって、いま・ここではないどこか別の場所に至る通路と言うと、著者の第二世界の定義に反するものとなるだろうか。2022/08/31