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プロパガンダの文学―日中戦争下の表現者たち

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  • サイズ 46判/ページ数 448p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784907986452
  • Cコード C0095

出版社内容情報

文学は芸術表現なのか、宣伝ツールなのか。様々な資料を駆使して、火野葦平や石川達三ら日中戦時下の従軍作家の《書法》を読みとく。戦う宣伝、戦う文学



文学は芸術表現なのか、それとも軍・官の情報を宣伝・拡散するツールにすぎないのか?1937年7月に勃発した日中戦争下のさまざまな資料を駆使して、軍による報道・宣伝・検閲の実態に肉薄し、火野葦平や石川達三ら従軍作家の《書法》を読みとく。

はじめに

 1. 本書の視角

 2. 対象・方法・議論の射程

 3. 本書の構成

  

第1章 プロパガンダとしての文学:戦記テクストの情報戦争

 1. 交差するテクスト

 2.「生きてゐる兵隊」事件の問題性

 3. プロパガンダとしての『麦と兵隊』

 4. 戦記テクストの情報戦争

 

第2章 文学・メディア・思想戦:〈従軍ペン部隊〉の歴史的意義

 1.〈従軍ペン部隊〉とは何だったのか

 2. 武漢作戦の宣伝戦略

 3. 思想戦と文学者

 4.〈従軍ペン部隊〉の歴史的意義

  

第3章 戦場を書く文体:戦記テクストの戦場表象

 1. 問題の所在

 2. 戦場を書く文体

 3. 制約と変形

 4. テクストの破綻

  

第4章 スペクタクルの残余:戦記テクストにおける想像力の問題

 1. 禁じられた記憶

 2. 記憶の動員

 3. スペクタクルの残りのもの

  

第5章 曖昧な戦場:戦記テクストにおける他者の表象

 1.〈敵の顔〉の不在

 2. 戦場の教養小説

 3. 戦場と〈人間性〉

 4.〈われわれ〉の中の断層

  

第6章 言語とイメージのあいだ:プロパガンダをめぐる思考空間

 1. 言語とイメージのあいだ

 2.〈思想戦=宣伝戦〉論の問題構成

 3. 内攻する「思想戦」

 4. 戦時体制下の言説管理

 

第7章 中国の小林秀雄:戦争と文学者

 1. 問題の所在

 2. 文学(者)の領土

 3. それぞれの戦場

 4. 友情の効用

 

第8章 歴史に爪を立てる:金史良「郷愁」を読む

 1. 問題の所在

 2. 帝国の総力戦

 3. 親日と反日

 4. 金史良「郷愁」に響く声

 5. テクストという名の戦場

 

 おわりに 坂口安吾の一二月八日

 

注  

  [附録] 日中戦争期戦記テクスト関連略年表

 

あとがき

  

ブックデザイン:宗利淳一

五味渕典嗣[ゴミブチ ノリツグ]
著・文・その他

内容説明

文学は芸術表現なのか、それとも軍・官の情報を宣伝・拡散するツールにすぎないのか?1937年7月に勃発した日中戦争下のさまざまな資料を駆使して、軍による報道・宣伝・検閲の実態に肉薄し、火野葦平、石川達三ら従軍作家の“書法”を読みとく。

目次

第1章 プロパガンダとしての文学―戦記テクストの情報戦争
第2章 文学・メディア・思想戦―“従軍ペン部隊”の歴史的意義
第3章 戦場を書く文体―戦記テクストの戦場表象
第4章 スペクタクルの残余―戦記テクストにおける想像力の問題
第5章 曖昧な戦場―戦記テクストにおける他者の表象
第6章 言語とイメージのあいだ―プロパガンダをめぐる思考空間
第7章 中国の小林秀雄―戦争と文学者
第8章 歴史に爪を立てる―金史良「郷愁」を読む

著者等紹介

五味渕典嗣[ゴミブチノリツグ]
1973年、栃木県生まれ。大妻女子大学文学部教授。慶應義塾大学大学院文学研究科国文学専攻博士後期課程単位取得退学。博士(文学)。専門は、近現代日本語文学・文化研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

BLACK無糖好き

15
戦時期における思想戦・宣伝戦としての文学の果たしてきた役割は、〈文学者の戦争協力〉という枠組みで議論されるケースが多かったが、著者はその枠組みを超えて、日中戦争期の戦場や戦地を描いたテクストが、重層的に組み合わされどのような表象の圏域が構成されたかを検討している。中でも検閲と統制に関する議論は興味深い。検閲は言葉を禁止し抑圧する力だが、統制は一定の種類の言葉を生かす力として作用する。権力による禁止を強く意識させることで、自主規制とは異なるある種の自発性を前提とする力が要請される局面が生起した。2018/08/08

フム

12
日中戦争下において「従軍ペン部隊」という文学者の動員があったという。戦争を継続していくためには、国民の不安や動揺を抑え、士気を鼓舞し続けなければならない。戦争とは「思想戦」でもあるという戦争指導者たちの認識がそこにはある。文学者もその一翼を担ったという事実。 第7章では文学と戦争との距離を置くことをよしとしていた小林秀雄が『麦と兵隊』の火野葦平を高く評価し、そのプロデューサーであるかのように影響力を持っていく。自分の言葉が反復され流通していくことに酔ってしまうということがあるのか…と衝撃を受けた。2018/08/04

彼方

1
旅行に持っていくには物理的にも、内容的にも重い本でした。 戦時下、プロパガンダと言った、どうあっても色がつくワードの文章を、一旦価値中立のテクストに還元して読み解く作業は読書家としての広義のリテラシーの高さを感じます。 テクストから浮き出た、意図(検閲なども含む)せず書きつけてしまった文章から滲み出る意味を汲み取る作業によって、読みの多様性が生まれてくる様は、見事と言う他ありません。 2019/10/01

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