出版社内容情報
冷戦終結を経てますます《ガラパゴス化》する日本社会の歴史的・空間的な克服を試みる、気鋭の社会学者による同時代論集。冷戦終結を経てグローバリズムや国家主義に包囲され、ますます《ガラパゴス》の様相を呈する国、日本。その歴史的・空間的なしわよせが集中するさまざな《現場》の精緻な分析を通して克服を試みる、「殺さない/殺されない」ための同時代論集。
はじめに
第1部 同時代史という現場──歴史の岐路としての現代日本
1、一九九〇年代のインパクト──帝国・総力戦・冷戦の再審
2、二〇〇〇年代のバックラッシュ──歴史認識の疲弊とレイシズムの台頭
3、「二〇一一・三・一一」の衝撃──フクシマとイオウトウ、あるいは冷戦と核被害
4、危機の二〇一〇年代──上昇するグローバリズムと国家主義
5、〈冷戦ガラパゴス〉を超えて──殺さない/殺されないために
第2部 群島という現場──帝国・総力戦・冷戦の底辺から
第1章 世界史のなかの小笠原群島
1、小さな群島の大きな歴史経験
2、帆船グローバリゼーションと移動民の自治
3、帝国の〈はけ口〉から農業入植地としての繁栄へ
4、総力戦の〈捨て石〉へ
5、冷戦の〈捨て石〉から世界自然遺産へ
6、群島のグローバルヒストリーのために
第2章 硫黄島、戦後零年
1、「戦後七〇年」の帰郷
2、そこに社会があった
3、強制疎開、軍務動員、そして地上戦
4、核基地化と長期難民化
5、解除されない強制疎開
第3部 大学という現場──グローバリズムと国家主義の攻囲のなかで
第1章 大学の自治の何を守るのか
1、グローバリズムのなかの「私大生」
2、国立大学の自治の破壊と知財生産企業化
3、私立大学の自治への攻撃と就職予備校化
4、「私大生」の自由とその消失
5、総力戦・冷戦と大学の自治
6、自由と自治の再構築にむけて
第2章 満身創痍の大学と学問の自由の危機
1、二〇一四年、政官財からの大学攻撃
2、二〇一四年、極右・レイシストからの大学攻撃
3、政官財からの大学攻撃の背景
4、極右・レイシストからの大学攻撃の背景
5、大学への国家主義的攻撃がもたらすもの
6、何をなすべきか
第4部 書物という現場──歴史の岐路を読み解くために
下野敏見『奄美諸島の民俗文化誌』
高江洲昌哉『近代日本の地方統治と「島嶼」』
田中隆一『満洲国と日本の帝国支配』
石井知章+小林英夫+米谷匡史編著『一九三〇年代のアジア社会論』
道場親信『抵抗の同時代史』
荻野昌弘+島村恭則+難波功士編著『叢書 戦争が生みだす社会』
サマンサ・パワー『集団人間破壊の時代』
小熊英二『私たちはいまどこにいるのか』
太田昌国『テレビに映らない世界を知る方法』
駒井洋監修+小林真生編著『レイシズムと外国人嫌悪』
前田朗編著『なぜ、いまヘイト・スピーチなのか』
篠原雅武『全‐生活論』
注
石原 俊[イシハラ シュン]
明治学院大学社会学部教員。1974年、京都市生まれ。京都大学大学院文学研究科(社会学専修)博士後期課程修了。博士(文学)。千葉大学などを経て現職。2015~16年、カリフォルニア大学ロサンゼルス校客員研究員。専門は、社会学・歴史社会学・島嶼社会論。
著書に、『近代日本と小笠原諸島――移動民の島々と帝国』(平凡社、2007年、第7回日本社会学会奨励賞受賞)、『殺すこと/殺されることへの感度――2009年からみる日本社会のゆくえ』(東信堂、2010年)、『〈群島〉の歴史社会学――小笠原諸島・硫黄島、日本・アメリカ、そして太平洋世界』(弘文堂、2013年)、『戦争社会学の構想――制度・体験・メディア』(共編、勉誠出版、2013年)などがある。
内容説明
冷戦終結を経てグローバリズムや国家主義に包囲され、ますます“ガラパゴス”の様相を呈する国、日本。その歴史的・空間的なしわよせが集中するさまざまな“現場”の精緻な分析を通して克服を試みる、「殺さない/殺されない」ための同時代論集。
目次
第1部 同時代史という現場―歴史の岐路としての現代日本(一九九〇年代のインパクト―帝国・総力戦・冷戦の再審;二〇〇〇年代のバックラッシュ―歴史認識の疲弊とレイシズムの台頭 ほか)
第2部 群島という現場―帝国・総力戦・冷戦の底辺から(世界史のなかの小笠原群島;硫黄島、戦後零年)
第3部 大学という現場―グローバリズムと国家主義の攻囲のなかで(大学の自治の何を守るのか;満身創痍の大学と学問の自由の危機)
第4部 書物という現場―歴史の岐路を読み解くために(下野敏見『奄美諸島の民俗文化誌』;高江洲昌哉『近代日本の地方統治と「島嶼」』 ほか)
著者等紹介
石原俊[イシハラシュン]
明治学院大学社会学部教員。1974年、京都市生まれ。京都大学大学院文学研究科(社会学専修)博士後期課程修了。博士(文学)。千葉大学などを経て現職。2015~16年、カリフォルニア大学ロサンゼルス校客員研究員。専門は、社会学・歴史社会学・島嶼社会論。著書に、『近代日本と小笠原諸島―移動民の島々と帝国』(平凡社、2007年、第7回日本社会学会奨励賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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