内容説明
話題を呼んだ前著『「命のヴィザ」言説の虚構』に続く、「検証・日本のシンドラー」第2弾。1980年代から現在までに制作された映画やTV番組、内外の情報を精査し、戦後史上最大の「美談」形成の謎に迫る。
目次
0 『虚構』の反響
1 「命のヴィザ」映画、四本を検証する(映画が作る歴史;偶像崇拝のタブーをめぐる決疑論/屁理屈 ほか)
2 日記と回想録のなかの“あの時”1940.6‐8(六人の日記・回想録著者;ソ連軍進駐前夜の雰囲気 ほか)
3 「命のヴィザ」の誕生(最初の賛辞1944‐1956;小辻節三のユダヤ教改宗1959 ほか)
4 杉原幸子『歌集 白夜』の謎
著者等紹介
菅野賢治[カンノケンジ]
1962年、岩手県に生まれる。東京理科大学教養教育研究院教授。パリ第一〇(ナンテール)大学博士課程修了。専門は、フランス語、ユダヤ研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
18
冒頭で、前作『「命のヴィザ」言説の虚構』刊行後の反響がいくつか披露されていて面白い。本書は後読書として、「命のヴィザ」を主題とした劇映画の分析などから、「命のヴィザ」言説の誕生過程を探索する試みがなされている。同時に元ユダヤ難民の回想録も紹介し、それらの記述が映画作品や、杉原千畝、幸子の証言や回想とも乖離していることも示している。◆歴史は、分かりやすいナラティブへと流されていく面はどうしてもあると思う。タイパなどという効率が重視される傾向が強まれば尚更。歴史研究者の役割は今後益々重くなる。2024/03/10
水海 瞬
1
私の場合も、確かにこの著作にあった、90年代のドラマを見て、学校の課題図書として「六千人の命のビザ」を読むというオーソドックスなパターンだった。まさに、「日本人すべてが好戦的で残虐だったのではない・・・」という日本人の「頭の後ろの思考」に沿っていたのだろう。2023/12/24




