内容説明
ガリフナ文化研究の立場から、思想家・教育者としてのルソーを批判的に読みかえ、近代の暴力性を明らかにする貴重な成果。
目次
序章 問い、視点、方法
第1章 「人食い」言説の系譜
第2章 『人間不平等起源論』
第3章 『エミール』
第4章 カリブからの問い
附章 日本のおかしなルソー
著者等紹介
冨田晃[トミタアキラ]
1963年、静岡県に生まれる。東京工業大学大学院社会理工学研究科博士後期課程単位取得退学。青年海外協力隊員などを経て、現在は、弘前大学教育学部准教授。専門は、ラテンアメリカ・カリブ研究、芸術教育。「ナショナル・ジオグラフィック・ジャパン第一回フォトコンテスト」(1997)で大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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よきし
9
カリブ人がカニバリズムの語源であったという衝撃と、滅びたと言われていたカリブ人がガリフナ人として中米にいたという衝撃に加えて、ルソーという偉人と言われる人がいかに恣意的に野蛮と子どもを接続して言説を生みだしていったのかという論証がスリリングで非常におもしろかった。日本においてルソーが教育学で原典を読まれないまま崇められる状況についても、ルソーの人間的破綻を考えると改めてあり得ないなぁと思う。いろいろな驚きと発見に満ちた一冊だった。教育学からの応答を読みたい。2025/06/23
つまみ食い
8
「食人」を中心に、アメリカ大陸の「発見」以後中南米の先住民にヨーロッパがどのようなレッテルを貼り、そのレッテルが旅行記といった言説として増殖してモンテーニュやルソーなどに至ったかを論じる。日本の教育論におけるルソーの受容の特殊さも論じられており、そちらも大変興味深い。2025/05/12
takao
0
ふむ2025/06/23