内容説明
現実と内面、正気と狂気のあわいを超えた、詩的言語の実践。『ダダイスト新吉の詩』(1923)によって一挙に“現代詩”を到来させた日本最初のダダイスト、高橋新吉。虚無思想と禅を基盤とし、時代と社会を超越した14編を斬新な構成で編集。
著者等紹介
高橋新吉[タカハシシンキチ]
1901年、愛媛県に生まれ、1978年、東京都に歿する。八幡浜商業学校を中退後、上京、放浪する。1920年、小説「焔をかかぐ」でデビュー。1923年、詩集『ダダイスト新吉の詩』(中央美術社)によって現代詩を切り拓き、その後も仏教と虚無思想を基盤とした独自の世界観を展開する
松田正貴[マツダマサタカ]
1974年、大阪府に生まれる。大阪電気通信大学講師。専攻は、モダニズム文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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保山ひャン
1
高橋新吉の短編小説12編と、詩を2編収録。詩はダダの詩、小説は狂気を繰り返し語り直した作品や、仏教に関するものなど。「ダダイストの睡眠」では土佐堀の青年会館での演説、というくだりがあったり、「生蝕記 或る浮浪人の日記」では天満のカンイ宿泊が話題になったりしているが、高橋新吉の略年譜を見るかぎり、大阪とは特別縁がなさそうに見える。高橋新吉と大阪の関係がちょっと気になった。2018/08/24
quinutax
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ダダとは無である、書かざることを書くこと。発狂とは結局何なのか、あるいは発狂を描くとは何なのか。汚わいの中に浮かぶ全否定。絶叫を無音に収束させ、地べたに叩きつける。解説と造本がとにかく丁寧で深みがある。2017/08/28