内容説明
現在も過剰な暴力性が問題となる「体罰」。海外では宗教コミュニティで形成される道徳や倫理規範が、なぜ日本では公教育で担われるのか。カリフォルニア在住の気鋭の日本研究者が、豊富な資料やフィールドワークを通して検証する、日本の体罰の現実とその思想的背景。すぐれた体罰論にして、現代日本社会論。
目次
序章 第1章 人類学と体罰
第2章 日本の体罰史―その重層性
第3章 体罰とコンテクスト
第4章 倫理
第5章 体罰の原因と文化の複数性
第6章 権力の言説、言説の権力
終章 「暴力的文化」の神話
補論 アメリカ合衆国における体罰
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
CCC
10
客観的に実態を把握したいというのが基本スタンス。そのために日本人論から距離を置き、体罰肯定論にも否定論にも組みせず、日本の意見の多様性とグラデーションに目を向ける内容になっている。あくまでも実態把握に努める感じで、体罰の是非や対策の話を考える本ではない。2022/08/09
Go Extreme
3
日本の体罰を研究する意義 人類学と体罰: 体罰根絶に向けた世界の動き 体罰研究における人類学の有用性 日本の体罰史―その重層性: 近代以前の日本の体罰 戦前・戦後の体罰禁止法 戦後体罰の構築過程 体罰とコンテクスト 倫理: 対立する教育観 善悪をめぐる議論 体罰肯定論・否定論 体罰の原因と文化の複数性: 世界の体罰観 体罰の構造的要因 体罰の文化的要因 文化主義を越えて 権力の言説、言説の権力: 歴史的・通文化的分析の重要性 権力・暴力・身体に関する諸理論 沈黙・言語・行動 「暴力的文化」の神話2021/07/24