出版社内容情報
芥川賞作家による尾崎翠讃歌! 「第七官界彷徨」「歩行」「地下室アントンの一夜」も収録。尾崎翠論を読み、尾崎翠作品を愉しむ。
名著復刊! 芥川賞作家による尾崎翠讃歌
本作品論で言及した「第七官界彷徨」「歩行」「地下室アントンの一夜」も収録。尾崎翠論を読み、尾崎翠作品を愉しむ……至幸のとき。
◆尾崎翠の感覚世界
一 見えない関係
二 翠と同世代の果敢な作家たち
三 第七官界への旅
四 エロスの霧
五 おたまじゃくしのスピリット
六 終りに
あとがき―翠の原石
◆《附》尾崎翠作品
第七官界彷徨
歩行
地下室アントンの一夜
あとがき―復刊に寄せて
【著者紹介】
加藤 幸子
1936年札幌生まれ。41年両親とともに北京に渡り、47年引揚船に乗り帰国。北海道大学農学部卒業。農林省農業技術研究所に勤める傍ら、「三田文学」に作品を発表。72~89年自然観察会代表。82年「野餓鬼のいた村」で第14回新潮新人賞、83年「夢の壁」で第88回芥川賞、91年『尾崎翠の感覚世界』で芸術選奨文部大臣賞、2002年『長江』で毎日芸術賞を受賞。08年から財団法人北海道文学館顧問。日本野鳥の会会員。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
su-zu
3
尾崎翠と言う作家を全く知らなかったのだけど、すごく好きだった。加藤幸子さんの尾崎作品にぞっこん惚れ込んでいるのがびしびし伝わってくる、思い入れの強い評論が三分の一、残りが尾崎翠さんの著作と言う構成の本書。小川未明(湿度が似ている)、最近だと小山田浩子さん(主題が似ている)辺りが好きな人におすすめ。2015/11/25
ペミカン
2
読んだのは『不思議の国のララ』(メタローグ社:パサージュ叢書3 1999版)です。図書館で見かけて。 かつてこの人に心酔したことがありました。有名な『第七官界彷徨』は、確かNHKドラマにもなりました。 今読むと到底その感覚のひと触れも分からない。フランスの詩人のような作品です。若かった自分も懐かしい。2024/05/14
たつみ
1
尾崎翠への愛に溢れていて、個人的にとても安らいだんだけど、尾崎翠や野溝七生子が当時の社会情勢をほとんど作中に書かなかったことについて、別に“その存在を書くに足らない、“幽霊”とみなした”かどうかはわからないなと。中島敦だって一部の作品には彼が植民地で勤しんでいた統治業務について何ら触れられていない。まさか自分の仕事を“幽霊”とみなしたわけではないだろう。単に何ら批判的に見なかっただけかもしれない2019/11/23
mascuma
0
参考文献なみにユクスキュルへの言及が。2021/08/28