忘れられた人類学者(ジャパノロジスト)―エンブリー夫妻が見た“日本の村”

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忘れられた人類学者(ジャパノロジスト)―エンブリー夫妻が見た“日本の村”

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  • サイズ 46判/ページ数 320p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784907902162
  • NDC分類 361.76
  • Cコード C0023

出版社内容情報

アメリカから来た若き俊英とその妻が農耕から子育て、祭り、宴会、性、近代化まで、感動と共に記録した戦前のニッポン――。アメリカから来た若き俊英とその妻が

農耕から子育て、祭り、宴会、性、近代化まで、

感動と共に記録した戦前のニッポン――。



戦時色濃き1935年(昭和10)、熊本で最も小さな農村、

須恵村にやってきた社会人類学者ジョン・エンブリー一家。

戦前唯一の日本農村研究書を著し、ベネディクトの『菊と刀』や

GHQの戦後改革にも多大な影響を及ぼしたエンブリーとその妻エラが、

共感をもって洞察した〈協同〉社会の精神を未来に向けて問い直す。

プロローグ 忘れられた人類学者



第一章 稲作の理想郷

 満ち足りた?ムラ?

 浸透する貨幣経済

 軍靴の音 

「機械時代」の影響



第二章 導かれた二人

 少年期の日本体験

 ロシアから来日したエラ一家

 船上のロマンス

 二十二カ所に上った候補地

「最良の友人」愛甲慶寿家との出会い

「私は、日本に帰ることを熱望していた」

「村人たちはなんらの疑惑ももたなかったが、真の意図を疑う官憲もいた」

 遺された「タイムカプセル」

 調査を支えた若き日本人助手 



第三章 「はじあい」 のムラ 

 文化の基底としての「協同」

「はじあい」の語源

「部落生活の特色は協同活動と贈り物のやりとりである」

 組―当番制の自治システム

 ぬしどり―甲斐甲斐しき世話役 

「講」という互助システム

「田植えはつらい仕事なので、冗談をいったり、卑猥な話をして救われる」

「かったり」は強制だったか

「橋が流されるたび、部落は結ばれていく」

 ある子どもの遭難 

 村に満ち溢れる「贈答」

 仮のお返し「おうつり」



第四章 奔放な女たち 

 赤裸々な性

 慎みと粗野

「私たちばアメリカに行かせて」

 羞恥心の彼我

「ジョンを貸してくれないか」 

「みんなが酔っぱらって、踊りまくり、下品な歌のない宴会は、ほとんどない」



第五章 イエと家族の生活誌

 協同の基本単位は「世帯」

 養子縁組と?いとこ婚?

「家は、単に風水をしのぐ以上のものである」

 家と部落への誠実 

 エラ、お産に立ち会えず 

 寛大すぎる子育て

「ここの母親たちは無限の忍耐を持っている」 

「田舎の学校に落第というものはない」

 隣り合わせの病と死 

 試験結婚(三日加勢)という風習

 隠居後の人生



第六章 女の一生

「女の子たちは、妊娠や月経についてほとんどなにも教えられていない」

 授乳とトイレット・トレーニング

「女たちが運んでいる荷物の重さには、ただ驚嘆するばかりである」

「夜這いを拒絶することも受け入れることも女の選択のままであった」

 ある少女の恋文 

「かつて、花嫁の純潔は重要なこととはみなされていなかった」

「若い女性は結婚を拒否することができたし、再婚はきわめて普通のことである」

 芸者遊びと性病

「彼女たちは、少額の金を稼ぐことを誇りに思っている」

「ここの女たちはしばしば、夫とは別の男ば持っとる」

「未亡人は特別な地位をもっている」

 おおらかな性愛 

「たんなる犠牲者ではなかった」



第七章 巡る自然と暮らし

 旧暦と新暦のはざまで

「東の国」の自然観

「どんな小さな儀式でも、しめくくりに酒が出る」

 塩辛すぎた郷土食

 百を超える民謡を収集・英訳 

「神々に対して、彼女たちはなまんだという」

「農民の日常生活にとって重要なのは、家庭や道端の神々と祈祷師である」

 祈祷師と犬神持ち 



第八章 ムラの光と影

 夫妻が愛した「山の部落」 

「教育のある者のほとんどすべてが、村を離れる方法を探していた」

 嘲笑という名の制裁

 仲介の原理

「不適合者」とムラ



第九章 変わりゆくもの、変わらないもの

 須恵にもたらされた「予期せぬ変化」

 機械時代の犠牲者―愛甲慶寿家の死

 日本の近代化はどのように浸透したか

 エラの見た戦後日本

「古い苦痛は新しいものに取り替えられた」



第十章 対日政策との葛藤

 ハワイ大、トロント大を経て特務機関を歴任

 日本人への異端視に異議

「日本占領後の困難を『劣った』人種のせいにしてはならない」

 GHQのポストを固辞

 ゴーラー、ベネディクトの?自民族中心主義?への批判

「アメリカの占領政策は日本の民主化を遅らせるだろう」

『須恵村』が農地改革に影響



エピローグ 須恵村はいま

『須恵村』はなぜ忘れられたのか

『菊と刀』への批判

「エンブリーさん」の記憶

「はじあい」と「かちゃあ」は健在

 年に五十回以上の祭りが存続

「はじあい」を支える女たち

 お裾分けという「はじあい」

「ふるさとづくりは、経済開発偏重に対する反動なのだ」



資料編 須恵村の年中行事と祭り

田中 一彦[タナカ カズヒコ]
1947年、福岡県瀬高町(現みやま市)生まれ。京都大学経済学部卒。新聞記者を経て、2011年から2014年まで熊本県あさぎり町に単身移住し取材。共著に『知ってはならないパリ』(文芸社)『食卓の向こう側』『君よ太陽に語れ』(以上西日本新聞社)。日本GNH学会常任理事を務める。

内容説明

戦時色濃き1935年(昭和10)、熊本で最も小さな農村、須恵村にやってきた社会人類学者ジョン・エンブリー一家。戦前唯一の日本農村研究書を著し、ベネディクトの『菊と刀』やGHQの戦後改革にも多大な影響を及ぼしたエンブリーとその妻エラが、共感をもって洞察した“協同”社会の精神を未来に向けて問い直す。

目次

忘れられた人類学者
稲作の理想郷
導かれた二人
「はじあい」のムラ
奔放な女たち
イエと家族の生活誌
女の一生
巡る自然と暮らし
ムラの光と影
変わりゆくもの、変わらないもの
対日政策との葛藤
須恵村はいま

著者等紹介

田中一彦[タナカカズヒコ]
1947年、福岡県瀬高町(現みやま市)生まれ。京都大学経済学部卒。新聞記者を経て、2011年から2014年まで熊本県あさぎり町に単身移住し取材。日本GNH学会常任理事を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

佐倉

5
「菊と刀」について調べた時に「須恵村」という米国の人類学者によるある村についての研究があるらしい…という話を目にした記憶があるが、実際に読んだことはなかった。それはまさしく「忘れられた」ものだったからで、容易に読むことの出来ない環境ということもあった。本書はエンブリー夫妻の著作と研究ノート、そして現在のあさぎり町の取り組みなどから二人の足跡と研究をまとめたものになっている。日本人も他の米国人研究者も省みなかったものを記録した一冊がある…ということは面白いと思うのだが。いずれ翻訳された著作の方も読んでみたい2022/10/26

カネコ

2
2018/11/24

ままごん

2
おカタい本ですが、古き良き時代の日本はこんなふうだったのかなぁ、それを外国人の人類学者が見るとこうなるのかと、面白く読みました。須恵村がこの時代の生活に戻ることは、二度とないのだから、とても貴重な文献・写真を残してくれたエンブリー夫妻に感謝です。一方で、純粋に学問的な研究であっても、軍事的に利用されてしまうことの恐ろしさも書かれ、そういう意味で著者の田中さんに感謝です。単に「古き良き時代の日本の農村」を知りたいと思っただけで手にした1冊でしたが、いろんなことを考えさせられました。読んで良かったです。2017/10/13

いたる

1
"忘れられた"社会人類学者エンブリーと妻エラによる熊本県須恵村調査 (1935-36年) の記録と、彼らの足取りを読み解く書。 自分の規範意識や共同体意識を揺さぶられる、とても刺激的な本でした。目次に目を通すだけでゾクゾクしますよ!2021/01/09

massda

0
先頃ふるさと納税した熊本県あさぎり町の一部となっている農村に、戦前、調査に入った米国人研究者のお話。戦前の農村の暮らしがはっちゃけていてとても面白い。コメディ映画にできそう。文化人類学も軍事利用されやすい学問だなあと改めて実感いたしました。2017/09/14

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