内容説明
残されていた「師弟」の交流記録1931‐44。1931年より長くパリに暮らした彫刻家・高田と、彼に信頼を置いていたロラン。新発見となる、当時の二人が交わした23通に及ぶ往復書簡に見る「師弟」の記録。ナチス・ドイツ支配下のフランスに留まり、在仏新聞記者協会の役職にもあった日本人彫刻家による希有な時代の証言、さらに後年綴られた高田回想録『分水嶺』を補完するものでもある。高田のパリ時代、「ロランによる小林多喜二虐殺抗議文」を巡る論考なども収載。
目次
序 発見された二十三通の手紙
高田博厚=ロマン・ロラン往復書簡
付論 多喜二とロマン・ロラン―高田博厚が伝えた「幻の抗議文」について
付録(ロマン・ロランの日記抜粋;ロマン・ロランに届いた一通の日本語の手紙 ほか)
著者等紹介
高田博厚[タカタヒロアツ]
1900‐87年。彫刻家。石川県生まれ。東京外国語大学中退。高村光太郎に師事。1931年渡仏以降も彫刻作品制作を続けながら、1957年の帰国までの間、邦字新聞『日仏通信』の刊行、『毎日新聞』特派員などジャーナリストとして活動し、第二次世界大戦中はレジスタンス運動にも加担するなど、昭和の日本の知識人としては特異なあり方を示す。フランスに関する翻訳、著書多数
ロラン,ロマン[ロラン,ロマン] [Rolland,Romain]
1866‐1944年。フランスの小説家、劇作家、思想家。平和主義者、ヒューマニストとして終生ファシズムと闘った。長編『ジャン=クリストフ』、『魅せられたる魂』は「大河小説」と呼ばれるジャンルの代表作。第一次世界大戦勃発時に断固反戦を唱えた論集『戦乱を超えて』を世に問うて1915年のノーベル文学賞を受賞
〓橋純[タカハシアツシ]
1949年生まれ。東京外国語大学フランス語科卒。東京都立大学文学研究科博士課程中退。現代フランス文学専攻。現在小樽商科大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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