内容説明
動物たちとの交感に磁性を帯びる地平と原古の荒々しい生の雄叫び。そこに宿る戦慄と歓喜に満ちた強く逞しい感性こそが失われた不屈の生命力を回復する。「生の理性」にもとづく哲人オルテガによる隠喩の冒険。
目次
渡り鳥の飛翔について
狩猟の哲学(気晴らしの問題;狩猟と幸福;ポリュビオスとスキピオ・アエミリアヌス;狩猟の正体 ほか)
孤独なる狩猟
著者等紹介
西沢龍生[ニシザワリュウセイ]
1928年、東京生まれ。京都大学文学部史学科卒業。筑波大学名誉教授
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感想・レビュー
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はなよ
9
「狩猟こそがもっとも優れた、あらゆる世代で選択され続けてきた気晴らしである」その事を証明するために、あらゆる時代に思想を走らせる著者。これは私の持論なんだけども、現代のゲームも、すでに「狩猟」と言ってもいいぐらいに進化していると思う。だからこそ、人は忙しい仕事の合間を抜いながらもモンスターを狩り、レアなアイテムを集め、獲物についての情報を交換し合ったり、狩った獲物の数を競い合う。これこそ、現代における狩猟ではないだろうか。だからこそ、半ば賭博のようになってしまったソーシャルゲームは許されない存在だと思う。2017/10/02
午後
1
狩猟者のごとく油断なき態度で注意深く息を潜め、狩猟の概念の中心をめがけて思索を進めていく様がスリリング。 「突如、犬の鳴き声が、あたりを支配する静寂を破る。この鳴き声は、森のある一地点に涌き起こるが、そこに留まる純粋に響きのよい音高ではなく、まっしぐらに一直線に伸びていくといった趣のものである。私たちは鳴き声が奔放に走っていくのを、それが空間に流れ星のいくつかで手早く縫い合わされていくのを、耳に聞き、またほとんど目に見る。一瞬にして、辺りの風景の感光板には鳴き声の線が描き出される。」(p.104-105)2025/08/16