内容説明
なぜ、本質的な「女たち」の仕種に名前を与えられないのか。AV画面上の女たちの「空隙」に迫る、空前のアダルト・ビデオ論。やがて、それを観ることで何が変わるかが解き明かされてゆく―。オナニズム・ジェンダー・アレゴリーの諸分野を横断する刺激的論考。
目次
シーツ
庭
部屋
労働
漣
歪形
無名
未決定性
隠蔽
漏洩〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
澄川石狩掾
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「労働」の節では、愛に似すぎてしまった労働は蔑まれるとされ、その例として売春、俳優稼業とともにAVが挙げられる。AVにおいては愛が「労働の表層」を突き破り、労働が無化される瞬間がある一方で、フェラチオにはもっとも労働に通じる「ディテール」があるという。いわく、「怒張した男根を銜えて、頰が間延びした顔、それは端的に美的ではない」。いわく、「AVの性愛に超地上性の瞬間を絶望的に求める者には、フェラチオの際の「顔貌」のディテールが、すこし美感に反しているようにおもえる」。この指摘は全くその通りだと思った。 2023/09/09