内容説明
絶望の中に生きた陸游、破壊された長安で酒浸りの日々を送った杜甫、「値千金」で有名な蘇東坡、中国人をうならせた漱石、共産主義活動に挫折した河上肇の漢詩を取り上げながら漢詩が包含する「知」と「情」の世界を解説。漢詩が学校教育で軽視されていることへの問題提起も。漢文や漢詩を読むために必要な基礎知識は、はっきり言ってありません。あるとすれば、「自分がどう生きるのか」を考えることが、漢文や漢詩を理解し楽しむ道を作ってくれるでしょう。
目次
序章 時空を超えて共振する
第1章 陸游、絶望のなかのユートピア
第2章 漱石、東洋的理想郷への希求
第3章 杜甫、生きるためのラブレター
第4章 蘇東坡、「楽しむ」へのこだわり
第5章 河上肇、共産主義と挫折と
終章 古代中国の「心」を探る
著者等紹介
山口謠司[ヤマグチヨウジ]
中国学研究者(専門は文献学、書誌学、日本語史など)、博士(中国学)、平成国際大学学術顧問、大東文化大学名誉教授、中国山東大学客員教授。1963年、長崎県に生まれる。大東文化大学文学部大学院博士課程後期在学中、東洋文庫兼任研究員を経てケンブリッジ大学東洋学部共同研究員となる。同時に、フランス国立高等研究院人文科学研究所博士課程後期に在籍。帰国後は大学で教鞭をとるかたわら、イラストレーター、書家としても活動している。著書に、第29回和辻哲郎文化賞を受けた『日本語を作った男』(集英社インターナショナル)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。