内容説明
本書は、沿岸の歴史を六つの時代に分けて分析している。人類がアフリカの内陸部から最初に海にもどったときを起点とし、世界の沿岸に存在してきた継続と変化を掘り起こし、ひとつひとつに光を当てている。著者は、現在の歴史学者を、海より陸を、沿岸の人々より内陸の人々を優先し、沿岸という枠から歴史を見ることをしないとして批判している。そして、真のエデンの園は内陸ではなく沿岸にあり、ホモ・サピエンスは陸と海が出会う沿岸という移行帯で進化した周辺種だと考えるのが妥当であると主張する。内陸中心の歴史を覆すことが必要だと確信した著者は、沿岸と人類の歴史をたどりながら、沿岸は人類の形成において極めて重要な役割を果たし、一方、われわれ人類も沿岸を現在の状態に変えたことを、多くの引用や絵画、写真、地図を用いて論述している。
目次
序論
第1章 もうひとつのエデンの園
第2章 古代に海に出た人々と沿岸
第3章 近世の大西洋のフロンティア
第4章 沿岸の固定
第5章 海の再発見
第6章 沿岸の夢と悪夢
結論 沿岸と共存するために
著者等紹介
ギリス,ジョン・R.[ギリス,ジョンR.] [Gillis,John R.]
歴史学者。1939年アメリカ生まれ。アマースト大学卒業後、スタンフォード大学で博士号取得。プリンストン大学助教授、オックスフォード大学客員教授を務め、1976年ラトガーズ大学教授に就任。現在は同大学名誉教授を務める。ヨーロッパ近代史、おもに社会史と文化史を専門とし、欧米の家族関係、世代関係を研究。近年は地球史に研究領域を広げ、文化地理学と環境史に重点を置く。50年前から現在も、夏はメイン州のグレート・ゴット島で暮らし、10年前からはカリフォルニア州沿岸のバークレー市に生活拠点を置いている
近江美佐[オウミミサ]
1964年兵庫県洲本市(淡路島)生まれ。大阪女学院短期大学英語科、ジョージア州グウィネット・テクニカル・インスティテュート、トラベル・マネジメント学科卒業。英語講師を経て翻訳業に従事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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