出版社内容情報
少年受刑者たちの感動の詩集。加害者である前に被害者だった。「詩」が心の扉を開いた瞬間、宝石のような言葉たちが紡がれる。少年刑務所の受刑者たちの感動の詩集。
加害者である前に被害者だった──。
「詩」が心の扉を開いた瞬間、宝石のような言葉たちが紡がれる。
受刑者たちの固く閉ざされた心の扉が開かれたとき、溢れでてくるのは、人への思いやり、純粋さや優しさ。こんな子たちがなぜ犯罪者になってしまったのか。心を耕されることなく荒れ地で育った子どもたち。奈良少年刑務所の「社会性涵養プログラム」は、詩の創作を通じて、荒れ地に水を注ぎ、耕し、彼らに本来の「人間らしさ」をとりもどさせた。変貌を遂げた受刑者たちが紡いだ詩集。
寮美千子[リョウ ミチコ]
受刑者[ジュケイシャ]
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しいたけ
81
人に詩を聞かせること。人の詩に耳を傾け感じること。柔らかい色をした奇跡は、全てここからはじまる。詩は心。この場を与えられた感謝を表されると、重たい来し方が透けて見え、思わず目を閉じる。何も持たずに生きてきた彼らが、見上げて胸に染み込ませる世界の美しさ。その美しさが、私の感じる美しさとは違っていることを、いつも忘れないでいたいと思う。わかった気にはなれない。でもわからないとも思いたくはない。「あの日から 遠くなればなるほど おかえりなさい が聞きたくて」。おかえりなさい を言ってあげたくて。2017/07/10
けんとまん1007
49
奈良少年刑務所詩集の2冊目。先の1冊を読んで以来、何年も経っての出版ではあるが、感じるものは同じ。いろいろな経緯があってこの場にいるが、共通していると思うのが、自分なりの鎧を身に着けているということではないだろうか。その鎧が解け始めるのが、この場なのだろう。自分の思いを表現することで、少しずつではあるが、自分がわかり始めるし正直になれるのだろう。そして、それを後押しするのが、それを受け入れるということ。ここから始まる。2020/05/21
なる
48
奈良少年刑務所に服役するのは17〜26歳未満の重犯罪者。更正への社会性涵養プログラムとして詩の授業を行う。ここに出席する少年たちが何らかの困難や問題を抱えて法を犯した者ばかりだということが自由に作らせた詩を通して明らかになって行く。もちろん全てが美談というわけではないけれど、収録された作品はいずれもネイキッドな感情がさらけ出されていて、詩に触れるものへ何らかのインパクトを与えるはず。その背景にはもちろん被害者もいる。その事実とも向き合いながら読む。奈良少年刑務所は残念ながら老朽化で廃されてしまった。2021/06/02
ムーミン
36
時間をかけて読みました。一つ一つの言葉が深く重かったからです。まさに紡ぎ出される言葉の一つ一つを自分の中にも落として大事にしたかったからです。後半の解説部分も含めてとても勉強になり、心を清らかにする時間をもつことができました。2019/08/22
たまきら
33
先日読んだ本を受け、詩集を手に取ってみました。おりしも国内初の研究・児童虐待と犯罪の関連に着目した大規模調査で、受刑者5割に過去の被虐待体験があるというデータが公表されたばかり。日本ではまだまだ対応が遅れているこの問題に、美しい形で犯罪者の心に後悔の種を蒔けるのなら…過ぎ去った罪を犯した瞬間への悔恨の詩を眺めつつため息をつきました。2020/01/28