出版社内容情報
1922年秋。30歳の詩人は、3年越しの大作の冒頭をイズヴェスチヤ紙上に発表し、ベルリンへ発つ。やがてディアギレフの案内でパリに入り、ピカソ、レジェ、ストラヴィンスキーらと会う。全八部と構想されながら未完に終わった長篇詩の冒頭二部を、詩人・小笠原豊樹の最後の新訳でおくる。日本翻訳家協会特別賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
363
ロシア・アヴァンギャルド風の表紙とタイトルに惹かれて購入。この作品が書かれたのは、第3インターナショナル(コミンテルン)を一手に掌握していたスターリンの独裁時代。このタイトルとこの詩のスタイルでは、とうてい出版はかなわなかっただろう。もっとも未完だが。最後の21世紀末の予言はぜひとも読みたかったが、そもそも書かれることはなかったかも知れない。篇中の「頸のネジ」は象徴的だが、それにもまして詩の全体は弾け飛ぶ自由な諧謔精神に溢れている。2019/04/18
Y2K☮
30
戦乱の絶えぬ世界を俯瞰し、詩人は未来に何を託す? 究極のところは平和で豊かな暮らしを求めていると感じつつ、それを妨げる連中を頭のなかでこれでもかと叩き潰す。ひとりの人間の頭のなかは宇宙よりも広い、と誰かが言っていた。第三部はきっとマヤコフスキーの脳内にできあがっていたはず。紙へ書き落とす行為に煩わしさを覚えたか、当時の情勢を見てその必要性をもはや感じなかったか。「一億五千万」を再読しなければ。既読なのに、うっかりこれと一緒に買うところだった。詩人が家にあるのを読めと止めてくれた? そういうことにしておく。2024/06/04
cockroach's garten
17
現実のインターナショナルはトロツキー主催の第四回で終わっている。これはマヤコフスキー主催の空想上のインターナショナル。大きな鳥リュドクスを開発して世界中で一番を望遠鏡のように覗きこむ。第一次世界大戦後の苦役を強いられた国々の状況が見える。モスクワ発の赤い嵐が各国を染め上げる。 やがて世界を変えるこの赤の嵐が力強く書かれている。第二部で未完な為この先はマヤコフスキー自身の頭にしか描かれていない。2018/05/31
timeturner
6
寓話散文詩とでもいうのかな。当時の政治情勢を知らないとピンとこない部分はあるけれど、SFとしても楽しめる。翻訳もわかりやすくてユーモラス。でもでも、これからってところで終わってる!2017/02/12
葛
2
ヴラジーミル・マヤコフスキー著 小笠原豊樹訳 2016年6月30日初版第1刷印刷 2016年7月14日初版第1刷発行 発行者:豊田剛 発行所:合同会社土曜社 用紙:竹尾 印刷:精興社 製本:加藤製本 定価:本体952円(税別)2022/01/25