内容説明
日本の支配と戦争の只中も慈しんだ家族の日常。
目次
ジェシーの誕生
戦争のはじまりと百日のお祝い
船上で歌う「アリラン」
空襲とはじめての「オンマ」
バスの旅と中国大陸の人びと
ジェシー1歳。まとまらない独立運動
父の不在と爆撃の日々
次女、ジェニーの誕生と空襲
姉妹の成長と、長引く戦争
母の病と戦争の終わり
祖国へ
ふたたび、ソウルにて
著者等紹介
パクゴヌン[パクゴヌン]
1972年ソウル生まれ。グラフィックノベル作家。弘益大学で絵画を専攻したのち、1997年からグラフィックノベルを描き始める。韓国現代史を扱う物語を描く作家として知られている。02年、非転向長期囚の屈曲した人生を描いた『花』で大韓民国出版漫画大賞新人賞、2014年、拷問に耐え抜いた80年代の民主化闘争家を描いた『獣の時間』で富川国際漫画大賞を受賞した
神谷丹路[カミヤニジ]
東京都生まれ。韓国語翻訳、日韓関係史研究。国際基督教大学在学中の81‐82年に、韓国延世大学へ留学。早稲田大学、法政大学他で非常勤講師を勤める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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タカラ~ム
7
大韓民国臨時政府に参加した独立運動家ヤン・ウジョとチェ・ソナ夫婦が綴った育児日記を原案にしたグラフィックノベル。日本に植民地支配された祖国の独立のために活動する彼らは、日本軍の空襲によって命の危険に晒されながら、中国各地を転々と移動し活動を続ける。緊張と恐怖の日々を過ごす中で彼らの活動のモチベーションとなったのが、二人の娘ジェシーとジェニー。あの時代に何があったのか。そのような時代の中でも子どもの存在がいかに希望であり癒やしであったのか。いま読むべき本。いま知っておかなければいけない事実。2020/08/26
チェアー
6
韓国独立運動に対して、日本は何をしたのか。空爆の下でもご飯を食べ、寝て、子どもは育つ。過酷な日々にも日常はあることを改めて思う。雨の日は空爆がないので心が晴れる、というくだりには胸が詰まる。2021/02/16
な
3
臨時政府がこんなにも転々としていたとか、中国人と韓国人がともに日本人に殺され、ともに日本に抵抗してたとか、不勉強で知らない話ばかりだった。日本の小中学校の図書室に置くのにぴったりなんじゃないかなと思います。2021/10/18
こばゆ
3
戦時下、しかも亡命先で生まれるこどもたちと家族の来し方。独立運動や戦況の変化はあくまでその背景であり、赤ん坊がうまれ、這い、歯が生え、立ち、歩き、喋るその生活の軌跡が本筋だ。歴史はこの軌跡が無数に集合し束ねられ織り成された流れのようなものだ。赤ん坊は長じて母となりまた子をなした。母は祖母となり、ソウルのマンションから空を見上げる。もう爆撃機は彼女の頭上には来ないが、曇りの天気予報は彼女にとっては良い天気なのだ。生活は続く。2020/11/01
yoooko07
2
同じ川の上流と下流でこんなにも差がある。同じ親から生まれた子でも、上と下で性格や顔が異なるみたいに…… 一人は、内気で優しく気配りする性格。もう一人は我が強くてまっすぐで大胆な性格。性格の異なる2人が互いに仲良く暮らせたらまた異なる世界ができるだろう(P283)みな、胸に刻んでほしい。国や民族の幸福のために努力しながらも、けっしてそのために個を犠牲にしてはならない。全体は個でなりたつが、個なくしては全体はない(P362)2020/08/17
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