ジェンダー写真論―1991‐2017

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  • サイズ 46判/ページ数 416p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784907497071
  • NDC分類 702.06
  • Cコード C0072

出版社内容情報

女性やLGBT の写真家、現代美術作家たちはどのように社会と対峙し、表現したかを探るテキスト、決定版。

【世界篇】 民族とセクシュアリティ
●セルフ・ポートレイトで規制の女性イメージを解体する
イモジェン・カニンハム/シンディ・シャーマン/リディア・スハウテン/ビー・ネトルス/ジュディ・データー/ジュディス・ゴールデン/カタリーナ・シーバディング/スーザン・ヒラー/パティ・レヴィ/ヘレン・チャドウィック/バーバラ・デジェネヴェーヴ/スーザン・カエ・グラント/リサ・カネモト/ソニア・ランディ・シェリダン/リタ・ドーウィット/ナン・ゴールディン/アン・ノグル

●ダイアン・アーバス小論

●病と老いを克服する写真
ジョー・スペンス/ハンナ・ウィルケ

●“ヌード写真”から身体を解放せよ
E・J・ベロック/神蔵美子/岡田裕子/アルフレッド・スティーグリッツ/古屋誠一/ロバート・メイプルソープ/キャサリン・オピー/イトー・ターリ/ジーン・フレイザー/リン・ビアンキ/小川隆之/メアリー・ダフィ/ジーン・ダニング/大塚勉

●エイズをめぐる表象
ウィリアム・ヤン/AAブロンソン/ロバート・メイプルソープ/ピーター・フジャー/デヴィッド・ヴォイナロヴィッチ/エルヴェ・ギベール/フェリックス・ゴンザレス=トレス

●人種、階級とジェンダー
キャリー・メイ・ウィームス/ローナ・シンプソン/ミトラ・タブリジアン/嶋田美子/マスミ・ハヤシ/劉虹/マリ・マール/トリン・T・ミンハ

●アナ・メンディエタが示した多文化アメリカの可能性

●インドの変化し続ける写真家、ダヤニータ・シン


【日本篇】 戦後と高度経済成長とジェンダー
●石内都に見る戦後日本の「記憶」

●日本現代美術における女による女のセクシュアリティ再考
溝口彰子/イケムラレイコ/綿引展子/岡田裕子/出光真子/嶋田美子/澤田知子/イチハラヒロコ/オノデラユキ/鴻池朋子

●やなぎみわ作品にみる現代日本女性の意識

●わたしたちの身体はまだ“戦場”のままか
横溝静/塩崎由美子/澤田知子/朝海陽子/高橋ジュンコ/横溝静/志賀理江子

●森栄喜の拡大家族

●「失われた20 年」と女性写真家の表現
森栄喜/大野千野/田口和奈/菊地智子/蔵真墨/笹岡啓子/

●囚われの荒木
荒木経惟

笠原美智子[カサハラミチコ]
著・文・その他

内容説明

女性やLGBTの写真家、現代アート作家はいかに社会と対し、表現してきたかを探るテキスト・決定版。

目次

世界篇 民族とセクシュアリティ(1991・セルフ・ポートレイトで既存の女性イメージを解体する;1993・ダイアン・アーバス小論―ふたつの眼差し 父なるものの影;1997・病と老いを克服する写真―視線のポリティクス;1998・“ヌード写真”から身体を回復せよ ほか)
日本篇 戦後と高度経済成長とジェンダー(2005・石内都作品に見る戦後日本の「記憶」;2005・日本現代美術における女による女のセクシュアリティ再考;2007・やなぎみわ作品に見る現代日本女性の意識;2008・わたしたちの身体はまだ“戦場”のままか ほか)

著者等紹介

笠原美智子[カサハラミチコ]
1957年長野県生まれ。83年明治学院大学社会学部社会学科卒業。87年シカゴ・コロンビア大学大学院修士程修了(写真専攻)。東京都写真美術館、東京都現代美術館にて学芸員を務め、日本で初めてのフェミニズムの視点からの企画展「私という未知へ向かって 現代女性セルフ・ポートレイト」展(91年)を皮切りに、ジェンダーの視点からの企画展示を多数企画(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

夜間飛行

182
多くの女性写真家が、男性による身体のモノ化に対する居心地の悪さを作品に定着してきたという。ここにあるセルフポートレイトにせよ、裸にせよ、いずれも商業写真とは違う収まりの悪さが強い印象を残す。老いや病など、それぞれに何かを露出させた画面を見ていると、逆に疎外感に襲われる。被写体に「触れ」てしまった感覚にぎょっとしたりも。本書は数々のジェンダー展を企画してきた著者の歩みであると共に、セクシュアリティへの差別を受けとめてきた時間の厚みでもある。その強烈な反射作用を身を以て受け止め、そこからいかに生きるかが大事。2021/02/04

erierif

18
携帯、スマホ、カメラの進化、SNSに写真があふれている現代ゆえ、この本を読まれると良い。写真にはまだ表現の可能性があり時代や真実を写し伝える力がある。一人一人のアーティスト達の写真を観ているうち、自撮りなどのナルシスティックで閉鎖的な環境に漂っているままではいられなくなるのではないだろうか。誰もが手軽に写し発表できる現代にそんな写真家がもっと出てほしくなる。〈未来へ〉という章が素晴らしい。…他者によりそい想像力を及ぼし、自分が依っていた考えや思いを根本的に疑い、自分のパーペクティヴと相対する側の存在を(続2018/05/08

チェアー

14
ジェンダーの視点で写真を見た、考えたことがなかったので、新鮮かつ重要に感じた。いかに自分が「男性優位」の既成概念のなかで暮らしているか、身にしみる。今後、さまざまな芸術作品を見るときには、これまでと違ったように見ることができそうだ。本筋とは関係ないが、筆者がHIV感染者の作品に接するときに感じる痛みは井田真木子が同性愛者と行動し原稿として思いを可視化している時に感じた痛みを思わせる。里山社の本ということで思い出した次第。2018/06/01

msykst

8
身体や主体、私性への信頼が一貫しているのが印象的だった。極私的な経験や人間関係、記憶を映し出した写真は、男社会によって理想化され作りあげられてきた女性表象の暴力性や虚構性、その背景にある社会的問題を暴き、嘲笑し、脱臼させる。起点にあるのはダイアン・アーバスやナン・ゴールディンで、それまで趨勢だったドキュメンタリー写真に被写体や作家のプライベートを持ち込んだ事なのではないかと思った。翻って、90年代、00年代、10年代と著者が扱った作家たちは、むしろ主体やアイデンティティの揺らぎと向き合っていて面白い。 2025/03/01

綿

4
ジェンダー論は多少の知識あり、写真論は全くの専門外、という立場で手に取ったところ、写真以外の現代アートについて論じている章も多く、表現全般について考える際のヒントになる本として、想定以上にのめりこんで読んだ。写真に限らず、どんな表現、アートも、それが生まれた社会の価値観と切り離して語ることはできない。たとえば美しさについて語ったりなにかを美しいと思うとき、自分がなにを美の基準としているかまで立ち返って考えると、その基準を決めること自体が既に権力構造や政治的なものと切り離せないことを、筆者は教えてくれる。2019/01/24

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