内容説明
移民受け入れ政策の始動、半島危機も現実味の日本。現地でつぶさに見てきた著者による、日本への警鐘。
目次
第1章 難民と移民がEUを壊す
第2章 EUが大混乱に陥った二〇一五年秋
第3章 難民は誰がつくったか
第4章 大きく変わったドイツの風景
第5章 難民移民が犯罪者になる
第6章 難民と移民がドイツを分断する
第7章 EUが夢から悪夢に変わるとき
第8章 日本が移民大国になる日
著者等紹介
川口マーン惠美[カワグチマーンエミ]
作家(ドイツ在住)。日本大学芸術学部卒業後、渡独。シュトゥットガルト国立音楽大学大学院ピアノ科修了。ヨーロッパの政治・文化・経済を、生活者として鋭い感性で分析。2016年に『ドイツの脱原発がよくわかる本』(草思社)が第36回エネルギーフォーラム賞・普及啓発賞受賞、2018年に『復興の日本人論 誰も書かなかった福島』(弊社刊)が第38回の同賞特別賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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templecity
16
ユダヤ人を迫害した過去もあり、移民を積極的に受け入れてきたドイツだが近年はメルケルの主導もあり、より移民を受け入れるようになった。しかし犯罪が増えるなどの弊害も出てきている。難民は自国が生命の危険にさらされる場合に入国を許されるのだが、そもそも難民はパスポートを持っていない。アフリカからの難民はブローカーに大金を払って地中海を渡ってくる。イタリアはアフリカ難民であふれかえっている。アフリカが発展しないのは賄賂や腐敗が蔓延しているから。 2020/07/30
アリーマ
13
ドイツには30年前に一年、40年前に数ヶ月住んだ。当時の難民イメージは圧倒的にネガティヴで、日本がこの轍を踏んではイカンと思ってきたが、最近の情勢を知りたくて読んだ。積極的な難民受け入れの背景にはドイツの労働力不足もあったのか、メルケル首相の思想や行動の背景にあるものはこれか、移民される国には労働力確保となっても移民が背にする国は労働力不足に苦しむ…といった様々な現状を興味深く読んだ。日本も受け入れに舵を切った以上、前向きに考えていかないといけない。色々な意味で貴重な情報が多い良書だった。★★★★★ 2020/06/09
ta_chanko
13
ヨーロッパ、特にドイツにおける難民移民の状況、それに伴う社会の変動などがよく分かる。とにかく労働力が必要なドイツ産業界は、積極的に難民移民の受け入れを主張し、犯罪増加や治安悪化には見て見ぬふり。それを懸念するAfDにはネオナチ呼ばわりして徹底的に非難。ユダヤ人虐殺のトラウマから、難民移民に対する批判は未だにタブー。非常に怖い社会状況。このベクトルが、いつ逆に向くか…。ドイツに対する他のEU諸国の風当たりも強まるだろう。今後も西洋の価値観を共有できない移民が増えていくことで、EUの運営は困難さを増すだろう。2020/02/16
ののまる
10
著者は日本の難民移民の実際の状況をあんまりわかってないのかな?日本の難民受け入れなんて、去年42人、一昨年20人で、そもそもドイツ社会と同列に比較すること自体が無理。移民だって留学生や実習生は日本語できてたり母国で大学卒業した教育レベルでも、郷に入れば郷に従え的な感覚によって、奴隷のように搾取されてる。しかも在留資格拡大したからといっても家族帯同だめだし、基本的に5年たてば帰れだし、妊娠だめだし、まず人としての尊厳が日本ではないと思うけど。高度人材はこんな日本ではなく、もっと条件の良い他国を目指す。2020/03/25
トラ
9
著者は30年以上の歳月をドイツで過ごしており、現在も暮らしているそうです。そういった経歴のため、ヨーロッパの事情についてしっかりと分析しています。日本も、移民は避けられないと主張しており、「今ならヨーロッパの轍を踏まずに対策を打てるはずだ」とまだ間に合うと述べています。個人的には、かなりまずい状況に来ており「西洋の自死」ならぬ「日本の自死」(中野剛志氏)はかなりの確率で訪れるのではないかと危惧しています。それにつけてもドイツの現状は特に酷いですね……。2019/12/19