内容説明
「遺書」となった火野文学最後の大作、原稿用紙1千枚が今甦る!敗戦前後の兵隊と民衆の実相―そして戦争責任に苦悩する姿を描く。
著者等紹介
火野葦平[ヒノアシヘイ]
1907年1月、福岡県若松市生まれ。早稲田大学文学部英文科中退。1937年9月、陸軍伍長として召集される。1938年「糞尿譚」で第6回芥川賞受賞。このため中支派遣軍報道部に転属となり、以後太平洋各地の戦線に従軍。1960年1月23日、死去(自死)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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rubix56
3
6h ☆☆☆☆ 上巻の読了からかなりの間が空いてしまったが本日読了。 下巻では主に終戦直後の出来事。 1日して、昨日までの価値観がひっくり返ってしまう。まさに革命だ。 危機的状況になれば、人の本質が見えてくる。この本ではまさに、人間の汚い部分。嫉妬だったり、見栄だったり、憎悪だったり、生々しく描かれている。 フィクションであるけど、ほぼ、ノンフィックションといっていいのではないだろうか。人間を知りたいのなら、読むべき一冊だと思う。2015/03/30
rubix56
1
未読2015/02/17
Masakazu Fujino
1
のちに「花と龍」で有名になる作家火野葦平は、日中戦争時「麦と兵隊」をはじめとする兵隊三部作で国民的人気作家であった。この作品は戦後、文筆家追放処分を受けた火野葦平が、敗戦前後からの2年間を描いた自伝的小説で1960年に書かれた彼の遺作である。彼の戦争責任への思いが伝わってくる作品でした。中央公論に連載されたこの作品が単行本として出版される10日前に火野葦平は自死している。2014/09/25