内容説明
皇帝が製作し、皇帝が愛でた、皇帝しか所有を許されない陶磁器とは!!皇帝たちは、美しい陶磁器に現世の王者としての夢を託し、来世にも変わらぬ安寧を願った。陶磁器の美、それは「空」という俗世から離れた禅の境地にあり、中国の古代からの天人合一の宇宙観を表し、文人には心の解放をもたらした。太古の昔に人と土との対話から原始青磁が生まれ、時代の息吹を反映して発展、高度な染付技術の発達で艶やかさを競うにいたった。中国陶磁器の歴史は一幅の長編絵巻であるといえる。
目次
第1章 人と土との対話―文明の曙(農耕と陶器の神 神農氏;磁器の発明;毛筆の符号)
第2章 ひと筋の春の流れ―文人好みの青磁芸術(山陰道上を行けば、鏡中に遊ぶが如し―三国両晋時代;仏光仙境の投影―南北朝)
第3章 百花繚乱、帝王の夢(鷹揚華麗な唐代陶磁;精巧優雅な宋代陶磁;雄渾素朴な元代陶磁;色彩濃密な明清陶磁)
第4章 果てなき春の夢―陶磁器文明(陶磁器と帝位復活の夢;陶磁器と翰墨の新しいスタイル;陶磁器と国内外の文化交流)
著者等紹介
秦偉[シンイ]
青磁の研究者で、北京では古陶磁に造詣が深い収蔵家としても有名
松田徹[マツダテツ]
昭和32年(1957年)生まれ。立命館大学文学部史学科卒業、同大学院文学研究科史学専攻東洋史専修博士前期課程修了。現在、麗澤大学外国語学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ジャズクラ本
13
◎中国で出版された故宮所蔵品をテーマとしたシリーズの日本語訳書。原書に故宮とは謳っていないが内容は強く意識したものであるため、邦訳の際に故宮と銘うったと訳者はしがきにある。中国の悠久の歴史を辿るかっこうで各時代の(北京)故宮博物院の所蔵品を紹介・解説している。明から清にかけてはこの国の陶磁が豪華絢爛に成熟するが、徳化窯白釉観音座像など息をのむ美しさ。ただ清朝末期のものは技術的には高度でも、どこかもの悲しく思えてしまうのは、この王朝の末路を知るための先入観からだろうか。このあたり自分でもよくわからない。2020/11/28
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