感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
kishikan
28
詩的でどこまでも静かな文体ながら、人が犯す罪そして赦しという神の領域の話も交え書き綴った高橋浄恵さんの問題作。ユダとかマリアという登場人物がいたり、舞台が中世ヨーロッパをイメージさせるので、どうしても宗教的色彩を感じてしまうが、そんなこだわりを持つ必要はない。むしろ、自分の力ではどうしようもないことが起きてしまう現実の中で、何に救いを求めるのか、さらにはその救いさえはかない希望(彷徨える神)でしかないのか。これでもかと繰り返される悲痛の叫び。でも、いつか人は彷徨える女神に巡りあえる。・・という話、かな。2012/10/12
ミーコ
21
献本で頂いたのですが 横書きは 読み慣れないので 長い間 手付かずになってしまいました<(_ _*)> でも、読み始めるとスラスラと進みます。が、読んでて痛い。 なんとなく言いたい事は伝わって来ますが 哀しくなって来る様な…。 生きる意味… 難しいですね。2013/08/27
Nori Shamp
11
穢れを知らない少女(彷徨える女神)は、救いを必要とする者のもとに彷徨い行き、その手を差しのべる。そして、少女は罪深き人間が自らを裁くことに力を貸し、赦しを与える。他界を彷徨う女神は永遠の生を持ち、赦しを請う人間のために、この世界に身を置き続けるのだろうか。悲惨な描写もあったが、読後は温かい「何か」に包まれた感じがした。2012/09/10
へのいち
7
読みやすい! 思ったよりもすらすらと進みました。宗教色が強ければ遠慮しようかと思ったのですが、そんなこともなく、「人間の罪と罰と赦し」の物語。大いなる自然を前に、人間の卑小さを感じます。特に、これに書かれた女性には救いが少ない。現代なら違うのか? 結局は、何に出会い、何を感じ取るかということかな。2012/08/25