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時間観念の歴史 - コレージュ・ド・フランス講義 1902-1903年

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  • サイズ A5判/ページ数 446p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784906917921
  • NDC分類 135.4
  • Cコード C0010

出版社内容情報

●伝説の名講義、ついに公刊!

百年の時をこえて、いま我々がその講堂に着席する、恰好のベルクソン入門。哲学のアポリアは「時間」を適切に扱うことによって解決されると考えるベルクソンが、古代以来の哲学史に自己の哲学を位置づける。

●目 次

校訂者序 カミーユ・リキエ
第1講 相対的な知と絶対的な知
第2講 記号による知
第3講 一般観念の起源
第4講 概念と時間
第5講 ギリシア哲学と精確さ
第6講 プラトンの時間論
第7講 アリストテレス
第8講 アリストテレスの運動論
第9講 場所論から時間論へ
第10講 アリストテレスの時間論
第11講 プロティノス哲学への導入
第12講 プロティノスの意識論
第13講 プロティノスの時間論
第14講 プロティノスの自由論
第15講 近世哲学への移行
第16講 近世の哲学と科学における「無限小」革命
第17講 デカルト的直観
第18講 ライプニッツの時間論
第19講 カントの空間論・時間論
補 遺 講義要約(レオナール・コンスタン)
訳者解説 平井靖史
訳者あとがき 藤田尚志
人名(学派名)索引

●校訂者序より

 それらの〔既刊〕講義録が私たちに明らかにしてくれたものと言えば、最良の場合でも、ベルクソンが〔高校の〕教室で開陳していた、古典的な著述家たちや哲学的諸潮流に関する知識にすぎなかったのである。
 本書に収められた講義はその限りではない。一つならずの理由で例外的な地位を有しており、歴史的な次元を有していると言っても過言ではあるまい。というのも、この講義録のおかげではじめて、同時代人たちによって非常にしばしば描写されてきた、コレージュ・ド・フランスにおけるベルクソンの伝説の内実へと分け入ることができるからだ。その伝説とは、「ベルクソンのすぐ前に」「同じ教室で講義をしていた高名な経済学者」ルロワ=ボーリュー氏(Paul Leroy-Beaulieu)を驚かせることに始まり、その後パリの名士たちを講義に惹きつけることになったある教授〔ベルクソン〕の伝説である。ルロワ=ボーリュー氏は「日頃はほとんど空の講堂が、奇跡的に、見たこともない数の群衆で満たされるのを見た。それはソルボンヌの学生たちやサン=シュルピスの僧侶たちであった。彼らは、あの哲学者の講義の席を確保するために、〔前の講義から出席して〕気の毒にも一時間のあいだ(…)善良な氏の相貌を見つめ続けねばならなかったのである。あるいはまた、形而上学に夢中になった社交界の女性たちのために席取りをしに来た哀れな男たちや家僕たちもいた」。今日公刊されるこれらの講義はただ単に、一九三〇年代まで続く「ベルクソンの栄光」のはじまりを画するというばかりではなく、それ以上にその「源泉」である。(…)これらの講義はまた、かつてないほどベルクソンの思考を中心として凝縮されたものであり、その思考の理解に新たに特異な光をもたらす〔第一の特権〕とともに、専門的な研究の輪を越えてより広汎に輝きを放つことで、これまで同様、哲学にあまり縁のない聴衆に届くようになり、哲学そのものに興味を向けさせることはできなくとも、彼の著作に関心をもたせるに至る〔第二の特権〕という二重の特権を有しているのである。


●訳者紹介

藤田尚志(ふじた・ひさし) 九州産業大学国際文化学部・教授。フランス近現代哲学・文学。1973年生。近著に安孫子信・杉村靖彦との共編著 Mécanique et mystique. Sur le quatrième chapitre des Deux Sources de la morale et de la religion de Bergson(Olms, 2018)、岩野卓司編『共にあることの哲学と現実――家族・社会・文学・政治(フランス現代思想が問う〈共同体の危険と希望〉2 実践・状況編)』(共著、書肆心水、2017年)など。

平井靖史(ひらい・やすし) 福岡大学人文学部・教授。ベルクソン・ライプニッツなど近現代フランス哲学。1971年生。ベルクソン『意識に直接与えられたものについての試論』(合田正人との共訳、ちくま学芸文庫、2002年)。『ベルクソン『物質と記憶』を再起動する――拡張ベルクソン主義の諸展望』(藤田尚志・安孫子信との共編著、書肆心水、2018年)。

岡嶋隆佑(おかじま・りゅうすけ) 慶應義塾大学文学部他非常勤講師。ベルクソンを中心とした現代フランス哲学。1987年生。「ベルクソン『物質と記憶』におけるイマージュ概念について」(『フランス哲学・思想研究』、第22号、2017年)。カンタン・メイヤスー『亡霊のジレンマ』(熊谷謙介・黒木萬代・神保夏子との共訳、青土社、2018年)。

木山裕登(きやま・やすと) 博士(トゥールーズ大学)(哲学)。東京大学大学院人文社会系研究科特任研究員。哲学・フランス思想史。1987年生。「ベルクソン「意識の諸平面」概念の心理学的背景」(東京大学大学院人文社会系研究科哲学研究室『論集』32、2014年)、「ベルクソンとフイエにおけるオートマティスム問題」(東京大学大学院人文社会系研究科哲学研究室『論集』33、2015年)。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Bartleby

12
コレージュ・ド・フランス講義。席取りがたいへんだったらしい。古代ギリシア哲学から、プラトン、アリストテレス、プロティノスあたりの時間観念の変遷の解説がとくに面白かった。円環運動をしていたイデア的な時間が、紐のようにほどけてするすると地上に降りてくるイメージ。もっとも、その円環運動も次々と姿を変えて残存しつづけるわけだけれど。円環する時間は季節のめぐりを表象すると同時に権力とも親和性がありそうだ。記憶力に関する講義も今年(2023)刊行されるらしい。読まねば。2023/02/24

またの名

5
哀れな男達がパシリさせられ婦人の席取りをしたという、哲学者の満員講義。人工の記号ではどう置き換えても捕まえられないとベルクソンが主張する時間について、過去の賢哲が思索した歴史を辿る。古代ギリシャにおいて形相という理想は満点の完全体なので永遠に変化し得ず時間もなく、そこから減点するように堕落した形態として、質料を持って時間の中に生きる現実の個々の存在が考えられたと解釈。不動の動者=神が形相を伝達することで万物を触れずに動かし、宇宙の理想的部分と堕落部分が神自身の収縮と弛緩という運動に重ねられる独自の哲学史。2022/03/25

ぽん教授(非実在系)

5
ギリシア語文献を引用しては訳し、幾何学の図を書いて(空間に分割された不動点ではない)動き続ける時間の説明をするなど、時間論を軸に様々に広がる論点を扱いながらプラトンからカントまでの哲学史を紐解く躍動的な講義である。コレージュ・ド・フランスの講義室を埋め尽くした中には(顕示的消費物として哲学に興味を持った)社交界の女性も多くいたというが、果たしてどこまで理解できたのだろう。しかしそんな一般人のためにベルクソンは何度も説明を繰り返し、前の講義の要約をし、対比してくれるため、我々もだいぶ助かっている。2019/09/22

kentaro mori

4
時間観念の歴史についてだけでなく、ギリシア哲学、プラトン、アリストテレス、プロティノス、デカルト、ライプニッツ、カントについても同時に学べる2022/03/27

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