内容説明
今なお私的領域あるいは公の陰の領域に広く根を張る日本的反民主主義思想の強さの秘密とは何か。天皇機関説をめぐる論戦で美濃部達吉に敗北し、日本憲法学史から葬り去られ、闇の存在とされてきた東大憲法学教授上杉愼吉。近年その存在に対する関心高まる上杉が、その思想を分かりやすく語った三書の合冊版。日本は他の国と違うという信念と日本型集団主義の精髄。民主主義の「うまくいかない現実」に対する批判として現れる「日本主義」の核心。
目次
暴風来(序;国家第一;人の相関と連続;如何にか我が国体の精華を発揮すべき;民主の世界潮流 ほか)
普通選挙の精神―同胞国民に告ぐ(序言;国民総動員;更始一新;和衷協同の生活;億兆一心 ほか)
億兆一心の普通選挙
著者等紹介
上杉愼吉[ウエスギシンキチ]
1878生、1929歿。憲法学者。福井県生まれ。1903年東京帝国大学法科卒業後すぐに同大学助教授となり、06年から09年までドイツ留学。12年教授となり穂積八束の憲法講座を継承。ドイツ留学前は国家法人説、天皇機関説を唱えたが、帰国後は天皇主権説の立場をとり、天皇機関説をめぐって美濃部達吉と激しく論争。第一次世界大戦後は、学内外において複数の思想運動団体の結成や指導に尽力(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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