内容説明
仏徒でもある近代日本仏教アカデミズムの開拓者が、脱迷信の近代的感性にたえる明晰な叙述により、仏教の根本キータームを有機的に解説する。仏教の「全体を貫く基本的な考え方=哲学」のハンドブック。
目次
第1 因果の理
第2 事と理
第3 理と智
第4 信と宗教心
第5 無我と空
第6 善と悪
第7 生死と涅槃
第8 仏教の特色
著者等紹介
宇井伯寿[ウイハクジュ]
1882‐1963。愛知県出身。インド哲学者、仏教学者。曹洞宗の僧。東京帝国大学文科大学卒業後、ドイツ、イギリスに留学。曹洞宗大学(現駒澤大学)、東北帝国大学、東京帝国大学の各教授を歴任。豊富な文献的知識をもとに緻密で周到な文献学的考証を行う学風で知られ、その業績は学界に大きな影響を与えた。研究範囲はインド六派哲学から中国・日本の仏教までの広きにわたるが、なかでも初期仏教研究、唯識思想研究を中心とした(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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マウンテンゴリラ
2
キリスト教を軸とした西洋的価値観が相対化され、イスラム教を軸とした中東、アフリカ諸国の社会的混乱が表面化する現在の世界状況において、仏教の持つ価値観が、必然的に見直される時代にあると言ってもよいのではないだろうか。そのことを確信させ、その伝統的哲学を現実を改善するひとつの手段として実践的に見直すことは、自愛、憎しみの連鎖から世界を解放するための大きな力になると感じさせる書物であった。しかし、本書に言われるように、その実践哲学の根本にある、無我、慈悲、利他行といった大乗仏教の教えを発展させてきた→(2)2015/05/07