内容説明
ヨーロッパの愚かな貴族たちに広大なロシアの森を売り払っていた稀代の女詐欺師であり、高宗皇帝に直接モーニングコーヒーを淹れていた朝鮮最初のバリスタ、ターニャ。悪魔のように黒く、愛のように甘いロシアン珈琲のような、ロシアン珈琲のお話。
著者等紹介
キムタククワン[キムタククワン]
1968年、韓国鎭海生まれ。ソウル大学校国語国文科卒業。同大学院修了
中野宣子[ナカノノリコ]
福井県出身。1987年6月から88年8月まで韓国延世大学校韓国語学堂に語学留学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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星落秋風五丈原
14
男を愛しても溺れない強いヒロイン2022/12/20
たぬきのしっぽ
4
韓国小説初体験。朝鮮人詐欺師の男女が騙しあいながら愛し合い、愛し合いながら騙しあう話。国をまたいで「信頼」の駆け引きが続くスリリングな展開で一気に読める。舞台は19世紀末のロシアと朝鮮。祖国を捨て詐欺師として生きる二人がロシアで出会い、成功を収める。帰国後は経験を生かし露公使館に滞在中の国王の信頼を得ていく。ロシアン珈琲よろしく苦さと疑心に満ちたまっくろくろなお話。でも読後が清々しいのは、最後まで純愛や愛国に陥らない二人の徹底した詐欺師っぷりのおかげ。結局女は男を詐欺師としてこそ本当に信頼してたのだろう。2013/06/26
にのなかち
3
日清戦争後、日本軍による乙未事変により王妃が暗殺され、朝鮮が親露政策に傾いて王の高宗がロシア公館に逃げ込んでいた時期を舞台としたファクション。 朝鮮で奴婢の身分として生きるくらいならと、清を通じてロシアに渡り、ヨーロッパの貴族にロシアの森を売りつけるほどの詐欺師となったターニャ。これまた詐欺師の男イワンと愛し合い、紆余曲折経て朝鮮に帰国すると、イワンは王の側近の通訳官にまで上り詰めており、ターニャも王専属のバリスタとなる。さらにそこでは人生・国をかけた騙し合いが繰り広げられ・・・。2013/10/25