内容説明
1980年から32年間にわたる海外での砒素汚染地調査を、日記風に綴った学術的紀行文。20箇所におよぶ汚染地の歴史的背景、汚染の経緯と中毒病像の概要、対策と現状、現地研究者の業績などが網羅された。調査記録とともに、各汚染地の将来展望についても私見が述べられている。地下水の砒素汚染は、グローバルな環境問題として人類が真摯に立ち向かわねばならない喫緊の課題である。東南アジアの各地で著者らが確認した「軽症型慢性砒素中毒症の集団発生」は、この問題に対して新たな対応を迫っている。
目次
アントファガスタ(チリ)の砒素中毒
コルドバ(アルゼンチン)の砒素中毒
コマルカ・ラグネラ(メキシコ)の砒素中毒
台湾の砒素中毒(烏脚病)
中国の砒素フッ素中毒
モーゼル地方(ドイツ)の慢性砒素中毒
レンスチェール(スウェーデン)の砒素中毒
ハンガリーの砒素中毒
ロンピブン(タイ)の砒素中毒
インド文化圏の砒素中毒
ミンダナオ島(フィリピン)の砒素中毒
ブヤット(スラウェシ・インドネシア)の砒素中毒
メコン河流域の砒素汚染
著者等紹介
堀田宣之[ホッタノブユキ]
1940年熊本県菊池市で出生。1965年熊本大学医学部卒、医学博士、精神科医。1975年宮崎県高千穂町土呂久で砒素中毒の医学調査開始。1990年の土呂久公害訴訟和解まで被害住民の医学的問題に係る。この間、宮崎県旧松尾鉱山従業者および新潟県中条町の砒素被曝住民の検診・追跡調査に従事。1980年海外の砒素汚染地訪問を開始、砒素中毒症の症候学的調査研究に専念する。1991年ひかり協会(森永砒素ミルク中毒被害者救済組織)・熊本県地域救済対策委員長。1994年アジア砒素ネットワーク結成に参画、初代代表を務める。現在、特定医療法人富尾会桜が丘病院理事長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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