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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夏野菜
5
永田和宏のデビュー歌集。著者28歳の時のもの。栗木京子の著作に出てきた「君に逢う以前の僕に遭いたくて海へのバスに揺られていたり」という歌があまりにもグッときたので、それが載っている歌集を買った。結果、やはり前述の歌が一番グッときた。「あの胸が岬のように遠かった。畜生!いつまで俺の少年」、「「夏がおわる。夏がおわる。」と書きいたりかつてはわれのものなりし夏」、やはり若さの喪失をテーマとした歌に目がいく。ただ、抽象的な歌が多く、完全には理解出来ない。2013/11/17
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3
半球の林檎つややかに置かれいるのみ満身創痍・夜のまないた/かくれんぼ・恋慕のはじめ 花群に難民のごとひそみてあれば/あなた・海・くちづけ・海ね うつくしきことばに逢えり夜の踊り場/泣くものか いまあざみさえ脱走を決意しかねている春の野だ/わが窓を日暮れは森に開け放つ かなかなよ夏の雫のごとし2018/10/15
はち
2
何度読んでも難解な歌集。もちろん前衛の影響の強い時代の歌集であるし、私性を極力排除した作風でもあるためでもあるだろう。作者、タイトル、代表作を取っ払った時にどんな私が結像するか。おそらくうまく捉えきれないだろう。先に吉川さんの解説を読んでおいたほうが良いかも。2016/05/31
yumicomachi
0
読書メーターに登録されているのは第一歌集文庫のものだが、私が読んだのは1975年発行限定500部の茱萸叢書版。装丁も凝っていて重量感がある。青春の輝かしい鬱屈とでもいうべきものが刻まれている。〈楡の樹に楡の悲哀よ きみのうちに溶けてゆけない血を思うとき〉〈森がまだわれには見せぬ表情を唄いつつ流れゆくオンディーヌ〉〈耳立てて秋の獣のゆきしあと無慙に明るく窓夕映えぬ〉〈ほおずきの内部にひっそり胎されてほのお以前の火のほのぐらき〉2018/08/25
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