出版社内容情報
川嶋 康男[カワシマ ヤスオ]
著・文・その他
内容説明
自決を図った病院看護婦23人と電話交換手9人。戦後77年執念の取材でいまはじめて真実が明るみに!
目次
第1部 楡の丘に「山桜の歌」が聴こえる―大平炭鉱病院看護婦集団自決(手首の疵痕;切り裂かれた風景;燃える恵須取町;逃避行の果てに;八月一七日 夜明けのまどろみのなかで ほか)
第2部 こちら交換室 ただいま九人亡くなりました―真岡郵便局電話交換手集団自決(「九人の乙女の碑」から―プロローグとして;引き揚げ組と残留組と「決死隊」;非常体制の夜;八月二〇日 一二人の電話交換手の朝;銃撃にさらされたのは電信係 ほか)
著者等紹介
川嶋康男[カワシマヤスオ]
ノンフィクション作家。1950年、北海道生まれ。児童ノンフィクション『大きな手大きな愛』(農文協)で第56回産経児童出版文化賞JR賞(準大賞)受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mazda
62
終戦の頃、当時日本領だった樺太にいた電話交換手と看護師の女性たちが、日本の敗戦を知りながら攻め込んできたロシア軍の捕虜になり辱めを受けないよう、集団自決しました。その中で生き残った方々は、遺族から面会を拒絶されたこともあったのですが、慰霊碑を立て供養できたことでほっとされたようです。敗戦を受け入れたにも関わらず、条約破棄をしてまで攻め込んできたロシア人のやり方は、今も昔も変わりません。きれいごとでは済まない世界情勢について、まずは歴史を正しく勉強しておき、同じ轍を踏まないようにするべきです。2024/02/02
100名山
4
本書は南樺太の太平鉱山病院の看護婦と同じく真岡郵便局電話交換手の集団自決の美談について考察します。美談の陰には体制の思惑がある。著者は病院の院長不在と事実を歪曲した真岡上田局長を指弾するが、戦陣訓「生きて虜囚の辱めを受けず」などの教育の効果に改めて恐怖を覚えます。残念なのは何故青酸カリがあったのかもありますが、誰の指示で持ち出したかが突き止められなかったことです。しかしながら当時日本領であった南樺太の情景は読めました。ただ朝鮮の人は一回だけ記述されますが、樺太アイヌの人々は記述されじまいでした。2022/12/04
ビーグル犬大吉
2
戦時中の樺太の二つの集団自決事件。いずれもほんの少しの思い込みから女性たちの尊い命が失われた。太平炭鉱病院看護婦集団自決は「そこまでソ連軍が追って来ている。女の足じゃとても逃げ通せるもんじゃない」という避難民の心無い一言が集団自決を促した。真岡郵便局電話交換手集団自決は職場に男性(特に局長)がいなかったことが彼女たちを青酸カリで自死を決意させた。「あの戦争で指導者とか管理職といわれる人間がいかに狡く、無責任だったかよくわかる。戦争は弱者がもっとも悲惨な目に遭う人殺しゲーム」は名言だが現代にも通じることだ。2023/09/04
キンセンカ
0
無念だっただろうな、死んだ人も生き残った人も。戦争はいつも直接関係ない弱い者達をふみにじる。2023/11/04