内容説明
『赤毛のアン』から『タイタニック』まで、ジョニ・ミッチェルからシルク・ドゥ・ソレイユまで。誰にでも親しまれながら、それらがカナダ発であることは意外なほど知られていない。カナダの厳しい自然の中で育まれた想像力の系譜を「サバイバル」というキーワードでたどり、「文化の多様性」をさまざまな角度から検証し、新たな可能性を探る。カナダの文化を初めて包括的に捉えた注目の書。
目次
文化を語る際の留意点
リアリズムとキッチュ
第1部 サバイバル(M.アトウッドのサバイバル論―犠牲者の四つの態度;『タイタニック』―サバイバルの代名詞;『赤毛のアン』―イギリス系のサバイバル;『マリア・シャプドレーヌ』―フランス系のサバイバル;『三十アルパン』―忍び寄る近代化;『アガグック物語』―イヌイットのサバイバル;『束の間の幸福』―サバイバルから現実へ;『赤毛のアン』と『束の間の幸福』の比較―キッチュの可能性)
第2部 ありのままの現実・見えにくい現実(アメリカ化しないカナダ―『炎と氷』;フランコフォンの変容;現実と向き合う歌;抑圧への反抗―『石の天使』と『やぁ、ガラルノー』;近代化への警告―フレデリック・バック;日系作家のカムアウト;移民作家の見る現実;ケベックにおける舞台芸術の隆盛)
結論にかえて
著者等紹介
小畑精和[オバタヨシカズ]
1952年東京生まれ、大阪育ち。明治大学政治経済学部教授、大学院教養デザイン研究科長、体育会ラグビー部部長。大阪府立大手前高校卒業、京都大学文学部(フランス文学専攻)卒業、京都大学大学院文学研究科単位取得満期退学(フランス文学専攻)。モンレアル大学大学院フランス研究専攻(ケベック研究)単位取得満期退学。日本ケベック学会初代会長、現顧問。キッチュとレアリスムをキーワードに、現実に対して人間が抱くイメージを研究する。第21回アメリカ地域フランコフォン功労章をアジアから初めて受章(1998年)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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